[#TiDD] ポケモンGOにチケット駆動開発のポイントを学ぶ
ポケモンGOにリサーチというタスク駆動の要素が加わりました。ポケモンGOには飽きが来ていましたが、また楽しめる様になりました。リサーチの効果を考えると、チケット駆動開発に繋がるポイントがあると思いますので、まとめてみました。
リサーチには日々こなしていくフィールドリサーチと、タスクフォース的なスペシャルリサーチがあります。このうちフィールドリサーチがチケット駆動開発に似ています。
適度な粒度
タスクは適切な規模になる様に分割しましょう。
(ポケモンGOでは)
ポケモンGOは博士に頼まれて、図鑑の完成に向けてポケモンを捕まえるゲームです。図鑑を揃えるには、ポケストップでもらえたりショップで買えるアイテムを使ってポケモンを捕まえたり、タマゴを孵化します。
ショップでアイテムを買うにはポケコインが必要で、リアルなお金で購入するかジムで敵チームのポケモンを倒し維持します。ジムで戦ったり、維持するにはポケモンを鍛える必要があるので、ポケモンを捕まえて博士に送ってアメにしたり、相棒ポケモンにしてアメを増やして進化や強化します。
図鑑を完成させるには、このように色々な努力が必要で、ゴールがなかなか見えてきませんし、プレイしていてもゴールに近づいている実感はなかなか得られませんでした。リサーチは短期的なゴールをプレイヤーに示して、不安を感じずにプレイを進めることができます。
(実際の開発では)
ゴールはチームで共有しないといけません。また、そのゴールに至る節目としてマイルストーンが示されて、全体のロードマップや進捗を確認できなければいけません。
タスクはマイルストーンを達成するために必要な作業をチケットに分割したものです。タスクを全て実行するとマイルストーンやゴールに達成できないといけません。また、個人が短期的に努力できるほど(半日〜数日程度)に小さくなければいけません。
やらされ感が少ない
やらされ感が少ないとモチベーションを高く保つことができます。
(ポケモンGOでは)
前述の様にゴールに向けて様々なタスクを実施する必要があります。しかし、達成感を得られるのは新しいポケモンをゲットしたときやレアポケモンを進化させた時ぐらいでした。
リサーチを達成するとリワードというご褒美がもらえます。ボールや木の実などポケストップで得られるアイテムが中心ですが、ちょっとしたご褒美でも達成感が得られて嬉しいものです。
難しいリサーチほど良いリワードがもらえます。やりたくないリサーチは捨てることができますので、納得できるリサーチを実施して希望するリワードを得ることができます。
(実際の開発では)
開発中に評価されると嬉しいものです。タスクをたくさんこなしている人や難しいタスクをこなした人は打ち合わせの際などで賞賛しましょう。
また、こつこつと実践している人にも息抜きが必要です。定期的に何か嬉しいことがあると楽しく仕事ができます。おやつタイムや飲み会、お食事会などメンバーに合わせて考えてください。
大切なのは納得感です。押し付けられたと感じさせない様にみんなで議論し、自ら進んでコミットメントすることが理想です。しかし、そうも言えない場合も多いので、「しょうがないなぁ」と納得できるほどに情報共有し、ちょっとした息抜きや賞賛の場を作ることが、やる気を保ってくれるでしょう。
教育的であること
能力の高い技術者が不足しているのは、教育が考慮されていないことが一因です。新しいことに挑戦してもらうことで、成長を促しましょう。
(ポケモンGOでは)
リサーチには様々な種類があります。何でも良いから10匹捕まえる。特定の種類を捕まえる。ポケストップを回す。進化させる。強化する。ナイスボールなど小さな的にあてる。カーブボールを投げる。カーブボールでナイスボールなどを投げる。さらに連続で投げる。などです。
これらは、一通りの遊び方を理解させる効果があるほか、今後必要になる技術を徐々に学ばせます。ポケモンの種類を知ることはバトルに役立ちますし、カーブボールはスペシャルリサーチを達成する際に必須の技術です。
フィールドリサーチは選択できますので、自分の技量に合わせて徐々に高度なリサーチに挑戦できます。
(実際の開発では)
単純に効率だけを考えると、技術力の高いエンジニアに作業が集中してしまいます。しかし、その作業の中には、時間がかかるものの他の人でもできることがあるでしょう。
もし今後も増える作業なら、早めにできる人を増やすことが合理的です。その分だけ、できる人が別の作業をできるからです。
無理矢理に作業指示するのではなく、背景を説明して少しずつ成長してもらいましょう。その成長が技術者の喜びであり、チームの成長に繋がる様に。
おわりに
ゲーミフィケーションという言葉がありますが、ゲームの要素を取り込むまでもなく、ポケモンGOには学ぶべき所が色々あります。特に今回取り上げたリサーチは、チケット駆動開発の参考になる点がたくさんあります。
仕事は楽しくしたいもの。楽しければモチベーションが上がりますし、生産性も高くなります。
ご褒美に慣れると、ご褒美が無いとやる気を失う危険もあります。チームの状況に応じて、色々と工夫してください。
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