論文の善し悪しをサンプルで見る
今週金曜日の勉強会に向けて評価の低い論文と評価の高い論文のサンプルを作りました。論文の大まかな構成を書くだけでも違いがわかります。
評価の低い論文のサンプル
【はじめに】
A社では,1980年の創業以来システム開発をしており,プロセス改善を進めてきた.しかし.Excelファイルによる進捗管理では,情報収集に時間がかかっていた
【関連研究】
近年,チケット駆動開発と呼ばれるRedmineを用いたタスク管理が注目されている.チケットと呼ばれるものでタスクを管理することで,開発者が進捗を入力できる
【研究内容(提案、経験)】
これまでExcelのガントチャートで管理していたチームに,チケット駆動開発を導入した.導入に当たってはRedmineの操作方法と運用ルールの説明会を実施した
【結果と考察】
進捗確認が効率化され,プロジェクトも成功した
【まとめ】
チケット駆動開発により,効率化できた.他プロジェクトに広げていきたい
【参考文献】
[1] 小川ほか, Redmineによるタスクマネジメント実践技法, 翔泳社, 2010.
評価の高い論文のサンプル
【はじめに】
進捗の共有はプロジェクトを効率化し,活性化する [1].本研究では,Excelに変えテチケット駆動開発(TiDD)を導入し,その効果をアンケートで評価した.
【関連研究】
チケット駆動開発では残作業が明確で不安が解消され,プロジェクトを活性化する[1].しかし文献[1]では管理者の視点であり,開発者の評価は未確認である.
【研究内容(提案、経験)】
初めてチケット駆動開発を導入したプロジェクトにアンケートを取った.アンケートでは,導入初期とそれ以降の作業時間と導入後の感想を集計した.
【結果と考察】
進捗確認作業が導入時約50%増,習熟後約20%削減した.安心感も増えていた.
【まとめ】
チケット駆動開発で作業と安心感が改善した.導入時講習が今後の課題である.
【参考文献】
[1] 阪井誠,チケット駆動開発によるプロジェクトの活性化 見える化と運用ポリシーがプロジェクトを変えた,SPI Japan 2010,JASPIC, 2010.
違いがわかられるでしょうか?これらの違いをきちんと理解するには、論文がどのように評価されるか、査読者がどのように考えるかを知る必要があります。
このブログでも紹介していくつもりですが、金曜日の勉強会ならまとめて聞くことができますので、是非ご参加ください。(社会人のためのシンポジウム発表入門 リーン論文作法につづく)
ソフトウェアエンジニアのシンポジウム投稿のススメ
申し込み:こくちーずプロ(告知'sプロ)
日時: 2016年3月11日(金) 19:00〜21:00
場所: 一般財団法人日本科学技術連盟 大阪事務所(新藤田ビル11階) 1102室(PDF)
住所: 大阪府大阪市北区堂島2-4-27 新藤田ビル11階
参加費: 無料
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