無料ブログはココログ

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »

刑事コロンボは東尋坊に関係者を集めない - 論旨の伝達に起承転結は不要 -

日本の学校では国語の授業で起承転結を習いますが、論旨が伝わりにくいので技術文章やビジネス文章としては良くない書き方です。 起承転結は後半にならないと結論がわからないからです。

Wikipediaによると、英語圏ではパラグラフ・ライティングが一般的とされています。そして、「パラグラフ・ライティングでは、結論にあたる主張が、文章全体の最初のパラグラフ (段落) に書かれる」とされています。

今回は、初めに結論が書いてあって、その後に説明が続く構造のメリットを考えてみます。

刑事コロンボは東尋坊に関係者を集めない

外国ドラマの「刑事コロンボ」では初めに犯人を示しておいて、刑事コロンボが犯人のトリックの矛盾を示していきます。日本の推理ドラマの様に、誰が犯人かわかりにくくする話をはさんでおいて、最後に東尋坊の断崖絶壁で関係者を集め、犯人を明らかにするということはありません。

刑事コロンボは犯行シーンから始まるので、見ている人に犯人は明らかです。誰が犯人かドキドキする必要はなく、犯人がどのように追い込まれていくかをじっくりと楽しむことができます。探偵や刑事の心境だけではなく、犯人がどのように考えているかまで推測することができます。

圓蔵(元円鏡)さんは先にオチを言う

日本でも、圓蔵(元円鏡)さんの落語は、同じような構造になっています。落語というと最後のオチがどうなるかを楽しみに聞くものですが、先にオチを言ってしまうのです。そして、どうやってそのオチに持っていくかを楽しませる落語をされます。

そもそも古典落語の常連はオチを知っていて、話の膨らませ方や話術を楽しんでいます。圓蔵さんは先にオチを言うことで、初めて聞く人にも、常連のような楽しみを与えているのでしょうね。

論理的な構造や内容に集中できる

刑事コロンボは論文や技術文書と似ています。結論を知ることで、論理的な展開や周辺の事情が見える様になります。

結論を初めに持っていくと言いたいことが予めわかるので、読者は論理的な構造や内容に集中できます。これは論文にふさわしいだけではなく、技術文書にも適切な構造です。

早めに考え始めることができる

もう一方の圓蔵さんの落語はビジネス文書に似ています。何が言いたいかわからない文章をダラダラ読まされることなく、結論がわかるからです。

判断を求められている時に結論がわからなければ、考え始めることができません。結論を先に示しておけば、その結論をどう判断すべきかを考えながら読むことができます。

エグゼクティブサマリ

もし長い文章を回覧するなら、エグゼクティブサマリ(偉い人向けの事業計画)のような概要を付けましょう。社会人のためのシンポジウム発表入門 リーン論文作法 のスライドに書いた様に、概要は具来的なエッセンスで書くことができるからです。

そして、許可をお願いする時もダラダラと話すのではなく、結論とエッセンスを先に話しましょう。きっと業務がはかどるでしょうし、上司のイライラがなくなって良い結果が得られるでしょう。

論文投稿はアクティブラーニング

大学では論理的な思考を教育すると言われていますが、実は論文投稿を通じて論理的な構造の文章作成や発表のアクティブラーニングの場です。実践を繰り返す中で、物事を論理的に整理することができ、新たな論理も組み立てられる様になります。

それは大学でなくてもできることです。日々構造を意識して文書を書く、シンポジウムに論文を書いて議論するということが、そのような繰り返しになります。そのような実践を通じて、技術者はより能力を高められる様になるのです。

おわりに

技術文書やビジネス文書は論理的な情報を端的に伝えるものです。論旨を明確にするには起承転結は不要で、初めに結論を示すべきです。

初めに結論を示せば、内容が明確に伝わり、読み手に考える時間を与えます。これは、会話や発表でも有効な方法です。

文書は構造を考えることでその価値が高まります。ぜひ一度、結論を始めに書いてみてください。難しいならエグゼクティブサマリを付けてみてください。

#キャッチーなタイトルのつもりが、古すぎたかなぁと思いつつ、、

このエントリーをはてなブックマークに追加

社会人のためのシンポジウム発表入門 リーン論文作法

ソフトウェアエンジニアのシンポジウム投稿のススメ」というイベントで発表してきました(論文の善し悪しをサンプルで見るを元にしました)。

このイベントは SQiPシンポジウム実行委員会主催で、ソフトウェアシンポジウムに関わっているSEA関西からも協力させていただく形で実現しました。

シンポジウムとか論文というとアカデミックで真面目イメージがあるかも知れませんが、それだけではなくコミュニティのお祭りなんだから、みんなで楽しく議論しようよ。という思いで発表させていただきました。

真面目な論文の話は世の中に色々と出回っていますので、現場の人が実践者として査読をどう乗り切るかを裏話を交えてお話ししました。

具体的には、審査基準にあわせて書くことでボーダーラインに乗る。ボーダーラインではプログラム委員が推してくれるかが勝負なので、聞きたい、聞かせたいと思ってもらえるような実践者でないとわからないことを書きましょう。と説明しました。

Q&Aで興味深かったのは、司会の細谷さんが「論文だけでなく仕事にも繋がる」とコメントされたことです。

実はこの論文の書き方は、このブログに書いた「できる人を観察して勝負する
にあるように、右も左もわからなかった私が社会人留学生として生き抜いた成果でもあります。

この他にも論文の書き方で仕事に繋がることとしては、段落の構成など色々あると思いますので、仕事に向けた視点でまとめてみたいと思っています(刑事コロンボは東尋坊に関係者を集めない - 論旨の伝達に起承転結は不要 -に続く)。

おまけ

今回引用した中で、ソフトウェア品質シンポジウム2016一般発表募集 –申込書(Word)は審査基準の詳細が載っていいて、参考になると思います。

また、今回は文章の表記法等には触れませんでしたが、ソフトウェア・シンポジウム 2016 投稿要領にあるスタイルの注釈を読むと基本的なところはカバーできる、つまりボーダーラインに載り易くなると思います。

より詳細には電子情報通信学会の和文論文誌投稿のしおり(情報・システムソサイエティ)を下の方までしっかり見ると、文献の書き方や送り仮名、略語まで載っています。今回の主旨とは異なりますが、ここまでできると論文誌に出しても恥ずかしくない体裁になります。

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文の善し悪しをサンプルで見る

今週金曜日の勉強会に向けて評価の低い論文と評価の高い論文のサンプルを作りました。論文の大まかな構成を書くだけでも違いがわかります。

評価の低い論文のサンプル

【はじめに】
A社では,1980年の創業以来システム開発をしており,プロセス改善を進めてきた.しかし.Excelファイルによる進捗管理では,情報収集に時間がかかっていた

【関連研究】
近年,チケット駆動開発と呼ばれるRedmineを用いたタスク管理が注目されている.チケットと呼ばれるものでタスクを管理することで,開発者が進捗を入力できる

【研究内容(提案、経験)】
これまでExcelのガントチャートで管理していたチームに,チケット駆動開発を導入した.導入に当たってはRedmineの操作方法と運用ルールの説明会を実施した

【結果と考察】
進捗確認が効率化され,プロジェクトも成功した

【まとめ】
チケット駆動開発により,効率化できた.他プロジェクトに広げていきたい

【参考文献】
[1] 小川ほか, Redmineによるタスクマネジメント実践技法, 翔泳社, 2010.

評価の高い論文のサンプル

【はじめに】
進捗の共有はプロジェクトを効率化し,活性化する [1].本研究では,Excelに変えテチケット駆動開発(TiDD)を導入し,その効果をアンケートで評価した.

【関連研究】
チケット駆動開発では残作業が明確で不安が解消され,プロジェクトを活性化する[1].しかし文献[1]では管理者の視点であり,開発者の評価は未確認である.

【研究内容(提案、経験)】
初めてチケット駆動開発を導入したプロジェクトにアンケートを取った.アンケートでは,導入初期とそれ以降の作業時間と導入後の感想を集計した.

【結果と考察】
進捗確認作業が導入時約50%増,習熟後約20%削減した.安心感も増えていた.

【まとめ】
チケット駆動開発で作業と安心感が改善した.導入時講習が今後の課題である.

【参考文献】
[1] 阪井誠,チケット駆動開発によるプロジェクトの活性化 見える化と運用ポリシーがプロジェクトを変えた,SPI Japan 2010,JASPIC, 2010.

違いがわかられるでしょうか?これらの違いをきちんと理解するには、論文がどのように評価されるか、査読者がどのように考えるかを知る必要があります。

このブログでも紹介していくつもりですが、金曜日の勉強会ならまとめて聞くことができますので、是非ご参加ください。(社会人のためのシンポジウム発表入門 リーン論文作法につづく)

ソフトウェアエンジニアのシンポジウム投稿のススメ
申し込み:こくちーずプロ(告知'sプロ)
日時:  2016年3月11日(金) 19:00〜21:00
場所:  一般財団法人日本科学技術連盟 大阪事務所(新藤田ビル11階) 1102室(PDF
住所:  大阪府大阪市北区堂島2-4-27 新藤田ビル11階
参加費: 無料

このエントリーをはてなブックマークに追加

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »