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美しさは変化の中にある - パタンランゲージ - #agileto2015

ワンパターンというと単調な繰り返しですが、パタンランゲージのパタンは継続的な繰り返しです。

Agile Tour Osaka 2015でうかがった建築家の中埜さんのお話は良い意味で期待を裏切るものでした(つぶやきのまとめ牛尾さんの講演の感想)。

お話を聞き終わってから思い出したのは奈良先端大の研究棟でした。

まっすぐの方がシンプルなのに

奈良先端大の研究棟は地球防衛軍のような建物ですが、各棟の中央に通路があり左右に大小の部屋が並んでいてまあ普通です。棟が2つに分かれてその間にエレベータがあって、エレベータホールを介して行き来できる様になっていました。

設備等は公立の小学校などと変わらないのですが、作りが何か違いました。エレベータホールから全体が見通せないのです。写真でもわかりますが、エレベータホールのある接続部分がずれていたのです。

「まっすぐの方がシンプルなのに」と九州芸工大出身の友人にいうと、「デザイナーは工夫をしたいいんだ」といわれ、そんなものかと思っていました。

合理性を求めると無機質なものになってしまいますが、通路をまっすぐにしないことで各研究室のプライバシーを守るというパタンだったのでしょうね。

デザインパターン再考

中埜さんいわく、パターンはパタンランゲージの考えから抜き出したもの。継続的な変革、多様化だといわれます。それは街中でふと気付く木漏れ日のような、心から出る美しいものだそうです。

単語や言い回しを知っていても普通の人に良い小説が書けない様に、パターンをパズルの様に組み合わせても良いものはできません。全体と部分をわかる事はできず、センターとなるものから、街づくりの様に少しずつパターンを調和させながら広げるものだそうです。

産婆術

では、色々工夫しながら調和したシステムを作れば良いのかというと、「我々は産婆だ」と言われます。

そもそもものづくりはユーザが行っていて、それを作り手に頼む様になった。やがて販売や製造の専門化が進み、ユーザから作り手に意見が届かなくなったとのこと。子供を産むのはユーザ、ユーザの意見を良く聞いてものを作らないといけないとのこと。

UI/UXなどではユーザの意見をそのまま取り入れてはいけないなどと言いますが、取り入れないことと聞かないのは違うのだと思いました。

お話を聞いていてソクラテスの産婆術を思い出しました。開発者は「それがしかるべく生まれてくるべく、その誕生の手助けをする」仕事を担っているのでしょう。

おわりに

SF映画を見ていると、灰色の同じような無機質な建物が並ぶ中を人やロボットが行進する絶望的な未来と、曲線を含む多様な建物が自動化された交通手段でつながれる夢のある未来が描かれています。パタンランゲージで、美しい多様な未来を目指したいです。

中埜さんは福島でも活動されていて、寄付が被災者にまわらないで整地ばかり勧められている事を嘆かれていました。そこには合理的な判断や法律などの障害があるのかも知れませんが、現状を変革して新しい仕組みが必要です。

「お金儲けが社会のためになる事が資本主義の前提だったが、崩れてしまった」友おっしゃっていました。パタンランゲージのパタンとは制約の中で生じる問題を解決するものです。変化を恐れず改革しないといけません。

ものづくり、システムづくりをする際には、経済的な判断やルール的な判断だけでなく、これまでのやり方を打ち破り多様な未来を気付くべきか、ユーザと共に考えて作り上げないといけないのでしょう。

中埜さんのお話はパタンランゲージとその背景を知るだけでなく、技術者としてどうあるべきかを考えさせていただきました。企画していただいた懸田さんのお話が聞けなかったのは残念ですが、仕事のあり方を考え直す良い機会になりました。

ありがとうございました。

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