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AWSの不気味さとDDDブーム

AWSが破壊的に成長しているというのは、誰もが認めるところです。こんな記事もありましたね。

アマゾンのドル箱となったAWSがこれほど破壊的である理由 http://japan.zdnet.com/article/35072527/

しかし、もっと大きな、不気味な流れを感じるのは私だけでしょうか?

エコシステムとしてのAWS

AWSの初期は、初期コストに注目されました。規模の予想が難しいビジネスの立ち上げ時に、過剰な初期コストを必要とせず、必要に応じて規模の拡大ができると、スモールスタートの施策の一つとして注目されました。

このようなスケールの自由度は、年度末やキャンペーンCMの時だけ増大する様な業務に置いても好都合でした。ピーク時だけサーバの数を増やせば良いからです。

また、運用コストの面でも注目されました。一定のサービスレベルを維持するにはそれなりのコストが必要でしたが、アプリ用サーバだけでなくDBサーバも運用付きで切り売りしてもらえるので、低コストの運用が可能です。

技術基盤としてのAWS

AWSには、システムのアーキテクチャを構成する技術的な基盤があります。ネットワーク周りだけでなく、分散処理や機会学習、KVS、キュー、DevOpsなど、自分たちで導入するには、技術や運用の評価が必要なものです。

このようにAWSでサポートされるものは、顧客のニーズもあるでしょうが、アマゾンの本業で必要とされる最先端の技術という側面があります。アマゾン自信でドッグフーディングされた技術基盤なので、安心して導入できます(安心しすぎると危ないですが、、)。

ソフト産業をフルマネージドサービスで浸食するAWS

AWSを不気味に思うのは、AWSがアマゾンの本業でない点です。自分たちが使っているものをお裾分けしているだけなので、AWSのユーザがどのようなビジネスをしていようと良いものなら出してくる事です。

Lambdaが出てきた時はCPUの時間貸しをイメージしていましたが、どうも違う様です。アマゾンの運用の最適化を進めていたら、便利なものができたので公開しているようです。最近では定期処理やS3に置いたファイルの種類に合わせて処理をするという事が、設定だけでできてしまいます。

勉強会ではインフラエンジニアの方がAPI Gatewayで仕事がなくなると言われていましたが、ソフトウェア開発の分野もどんどん浸食されている様です。しかも、フルマネージドサービスの中にバージョンの概念なども加えられ、これまでの自動化で学んだ内容がそのままでは活かせなくなりそうです。

SOAとマイクロサービスを複合設計に当てはめると見えるもので書いた複合設計の分割法にAWSを当てはめると、上位のトランザクション分割の部分がAPI GatewayやS3-Lambdaで埋められた感じです。

共通処理は順次増えていて、あとは処理の中心のSTS(源泉、変換、吸収)の部分だけです。しかもSTSのSの部分、プログラムのつなぎになるキューやストレージはすでにあります。

最近ではサーバだけでなく、スマホの開発の支援やテストの支援まで簡単にできる様になっています。残るマーケットはどこなのかと思ってしまいます。

オープン&汎用な世界からハイブリッド&個別な世界へ

アジャイル開発が注目されて「SIerオワコン」などと言われても、マーケットの比率が変わるだけだと気にも留めませんでした。しかし、AWSによる技術革新と市場の縮小は恐怖さえ覚えます。

ホストによる集中・寡占の時代から分散・オープン&汎用の流れの中で多数のフレームワークが登場し、アルゴリズムを力づくで開発する産業からシステムアーキテクチャと面倒臭い仕事を多人数で行う産業になりました。

しかしAWSやその他のSaaSなどクラウドの発展によって「オープン&汎用な世界」から、さらに「ハイブリッド&個別な世界」に移ろうとしている様に思えます。

クラウド業者が汎用的な部分を担う事で、これまでのボリュームに頼る仕事は少なくなるでしょう。そして、オープンな技術を使いつつもクラウドにロックインされて、ソフトウェア開発は個別要件の実装しか残らないのではないかと思います。

最近、DDDがブームになっている様です。その背景にはこのような流れが影響しているのではないかと思いました。

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