[#benkyoenkai] WHATとHOWの溝をモデルでつなぐ - 三要素分析法を考える -
第39回IT勉強宴会in大阪に参加しました。今回はT字形ER手法と三要素分析法での花束問題をモデリングをネタに議論するという内容でした。このうち、三要素分析法の感想を書きます。
三要素分析法
三要素分析法とは、業務のあり方を示す「業務モデル」、帳簿組織のあり方を示す「データモデル」、機能のあり方を示す「機能モデル」を分析し、それぞれ訓練済みの要員、DB、プログラムを実現してで業務システムを構築します。
この3つで分析する仕組みは機能、データ、状態、で分析する構造化分析と似ていると思っていましたが、その感覚が理解を阻害していた事に気付きました。
構造化分析/構造化設計
構造化分析(SA)は機能、データ、状態をそれぞれDFD(データフロー図)、ER図、状態遷移図(または表)で分析し、その結果はWHAT(何を作るか)を示します。そして 構造化設計(SD)では、トランザクションの単位で分割する、データフローの最大抽象点でSTS分割する、といった方法やモジュール間結合とモジュール強度の指標でHOWを設計していました。
SA/SDで問題になったのは、WHATとHOWの断絶(溝)です。 構造化分析から設計に移行する際は、DFDの中心から引っ張り上げるようにして構造を決めるという手法がありました。しかし、それだけでは良い構造ができず、実装寄りに考え直す事が必要で、溝ができていたのでした。
その後、分析から設計まで同じモデリング記法を使い、WHATとHOWの溝を埋めるとの触れ込みでオブジェクト指向分析/設計が入ってきました。しかし溝は埋まったものの難易度が高く、オブジェクト指向が普及したのはデザインパターンが広く知られるようになってからでした。
ライブモデリングの流れ
渡辺幸三さんのライブモデリングで気付いたのは、SAのように3つの側面で分析をとことんするのではなく、業務モデル、データモデル、機能モデルとモデリングを進めていく事です。まず、DFDをわかり易くした業務モデルを書いて、流れがわかってからER図を書きます。そして、顧客への説明や実際のイメージを考える時など、必要に応じて画面を考えます。
この流れはWHATに始まり、段階的にHOWの世界に進んでいます。実際には行きつ戻りつするのでしょうが、モデリングの様子を見ているととてもスムーズに見えました。しかし、慣れてない人間にはデータモデルが急展開したように見える場面があり、そこが三要素分析法のポイントだと思いました。
急展開の秘密
ここで渡辺幸三さんの著者ページを眺めてみると、入門書が1冊に練習帳が1冊、残り3冊が業務別の書籍になっています。方法論よりも業務別の本が多く、それが三要素分析法の秘密なのだと思いました。
オブジェクト指向がパターンで難易度を下げたように、業務のパターンが三要素分析法の難易度を下げてWHATとHOWの溝を埋めることで、モデリングをスムーズにするのだと思いました。
おわりに
「業務システムのための上流工程入門―要件定義から分析・設計まで」の目次を見ると、まさにパターンが説明されている様です。この本はまだ読んでいないので、じっくり読んでみたいと思います。
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