アピールしても誇張すべきではない
最近、色々な意見を見聞きすることが多くなりました。インターネットの普及や活発な勉強会のおかげでしょう。多くの知識を得ることができ、ありがたいことだと思っています。
その中で、気になるのがウケを狙った誇張した表現です。もちろん、自身の考えや実績をアピールすることは良いのですが、釣り針的なとげのある表現や、例外を否定した断定的で不正確な表現が目につきます。
技術者たるものきちんと技術を発表すべきです。「アピールしても誇張すべきではない」との思いから、考えをまとめました。
なぜ誇張するか
誇張の理由には、3つのパターンがあるように思います。
- 目立ちたい
- 話を面白くしたい
- 知らない
順に説明します。
目立ちたい
転職をいしきしているのか、目立ちたい人が最近多い様に思います。技術発表といえば昔は会社の名前を出してするのがあたり前で、変なことをする人は*あまり*いませんでした。
最近は所属不詳で発表される方が多く、他で聞けないお話を聞けるて、とてもありがたいです。しかし、一面的な意見とその実践結果をアピールされるだけで、問題点や課題のない「どうだ、すごいだろ!」といった講演は、採用面接だけでお願いしたいものです。
話を面白くしたい
プレゼンテーションのうまい方が、話を面白くしようと誇張される場合があります。実は例外のあることをきちんと理解されている場合も多く、突っ込んで聞くときちんと説明してもらえることもあります。
しかし話の流れをつぶしてしまうこともあり、嘘にならない範囲で説明していただきたいです。もし、構成や発表スタイル上で難しいなら、単純化して説明すること、補填する時間をること、を予め示してもらえると安心して参加できると思います。
知らない
最近、意外と多いかもしれないと思っているのは、知らない人です。その人の歩んできた人生から見える範囲だけで、ウォーターフォールはこうだ、アジャイル開発はこうだ、SIerは、請負開発は、ソフトウェア工学は、のようにステレオタイプな意見を言う方です。過去に何か不幸な出来事があったのかもしれませんが、それだけが全てではないでしょう。
この背景にあるのは、コミュニティの断片化だと思います。昔はコミュニティらしきものは、ソフトウェア技術者協会やUNIXユーザ会、少し会社寄りでJISAぐらいでした。しかし、インターネットとLinuxが普及した頃から多くのコミュニティができ、狭い範囲で活動する人が増えました。別の分野のイベントにも積極的に参加してみるとか、様々な分野の技術者の集まるソフトウェアシンポジウムなどで視野を広げると、別の世界が見えてくるかもしれません。
局所解にハマらないように
これらに共通するのは良いかどうかの基準が「うまくいっているから」になっているからだと思います。客観的な裏付けがなく、「それで動いているから」とか「それでメシが食えているから」は、経験則にすぎません。どのような問題に対して、どのような効果があり、なぜ効果があり、その限界が何処までかが明らかでなければ、それは技術ではありません。
ソフトウェアの技術は、業務によって特徴はあるものの、互いに他分野の技術を参考にしつつ広がってきました。自分たちだけの狭い世界の成功事例で満足していては、いつか限界がくるでしょう。互いの課題やアイデアを出し合って、より良い技術に育てることで、環境の変化にも耐えられるより良い技術になるでしょう。
技術者だから
この業界は新しいものへの挑戦が常に求められるからか、昔から積極的で自己愛の強い自信家が多いように思います。熱い思いが業界を支えてきたことも確かですが、技術者は技術で勝負したいものです。
営業トークではなく技術で仕事を得て、お客様の役に立ちたいです。嘘は言わず、常に真摯で、良心的に、アピールしたいのです。また、恥ずかしくない程度には、視野を広めて技術を高めたいと思っています。
みなさんは、どう思われるでしょうか?
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