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火消しの成功条件から改善を考える

収拾がつかなくなった大火事プロジェクトの火消しは大変です。しかし、よりひどくなることは少なく、大成功とはいかなくてもそれなりの収束を迎えることが多い様に思います。火消しの際には以下の成功条件が整っていることが多いからでしょう。

  • 問題が顕在化している
  • 権限が委譲されている
  • 優先順位が決まる

これらを詳しく見ると、組織やチームを改善する際の成功条件が含まれていることがわかります。

問題が顕在化している

混乱の多くは、コミュニケーション、構成管理、障害管理などが原因ですが、問題が明確になっていないと適切な改善ができません。一般に良いと言われているプラクティスを導入しても、改善効果はありませんし、逆効果になる場合もあります。

問題が明確であれば、その問題を解決することで必ず効果が出ます。大火事プロジェクトではすでに問題が大きくなっていますから、既存のメンバーには普通になってしまった問題であっても、火消しはすぐに気付くことができます。

問題が明確になると、それまで気付かなかった人たちも同じゴールを目指せます。それまで自己保身に走っていた人も、ゴールの共有によって前向きになれるでしょう。

権限が委譲されている

火消しに入る場合はどうしようもない状況なので、火消しに多くの権限が委譲されます。普段ならリーダーが希望してもすぐに増員は認められない組織でも、非常事態なので火消しの希望は多くが通るでしょう。

これは上長のコミットメントによって改善が進むことを示しています。一般に改善が実施できるのは権限のある範囲ですので、上長のコミットメントは重要です。

優先順位が決まる

従来型開発では、仕様を決めたなら全ての機能を実装しないとプロジェクトが完了しないのが普通です。しかし、いつ終わるかわからない状況になるとリリースが最優先になり、実害のない機能や実現の難しい機能が後回しや取り消しになることがあります。

このように必要最低限の機能を実現するとそれが仕様の基準になり、残りの仕様が決まり易くなります。機能の優先順位が決まっていない時には、全てを最適化しようとして調整が困難であっても、優先順位を決めて段階的に開発すると問題の解決が容易になり、繰り返しによって経験値も上がります。

まとめ

あまりやりたくない火消しの仕事ですが、それ以上ひどくなることは少なく、やりがいのある仕事です。それは、ここに挙げた成功し易い条件が整っているからです。

これを、改善の成功条件としてまとめ直すと、以下のようになります。

問題の共有:チームが同じ方向を向くことで問題が解決できます。
コミットメントを得る:上司に率直な意見を言い、部下の率直な意見を聞くことが、改善の近道です。
優先順位を決める:優先順位を決めて徐々に確認すれば、混乱が防げます。

火消しでも、改善でも、プロジェクトの問題を解決することは変わりません。プロジェクトや組織の運営は常に改善です。これらに共通する成功条件を意識して、より良いプロジェクトを実現しましょう。

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