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標準化のトレードオフ その3 - 応用のできない習熟 -

デスマーチは嫌だ!幸せに暮らしたい。みんな、そう思っていたはずです。

ソフトウェア開発がうまくいかないのはプロセスが悪いからで、より良いプロセスで開発すればうまくいくはずだ。そのはずでした。

確かに最初はうまくいきました。確認作業の漏れがなくなり、ソフトウェアの品質は向上しました。

プロセスの標準化はトレーニングにも有効でした。いつ、どのような事をすれば良いかが明確になるので、経験者だけでなく、初心者にも勉強になりました。

しかし、その確認方法には問題がありました。チェックできるのはプロダクトとプロセスの実施で、なぜそのプロセスが必要であるかの理解度ではなかったからです。

このため、問題が発生する度にチェックする項目が増えて、どんどん管理的・義務的になりました。そして開発者は、なぜそれが必要かを考えなくなりました。

その結果、応用のできない習熟がすすみました。それまで大規模開発でうまくやっていたリーダーが小規模開発プロジェクトを任されると、ボロボロなことが多く発生しました。

その多くは、納期のプレッシャーに負けて必要な管理をスキップしていたからでした。大切な作業だからと理解して実施していたのではなく、チェックされるから作業していたのでしょう。

プロセスの標準化は必要なプロセスを実施することを目的にしていましたが、それは人を思考停止させ、無能化してしまいました。標準プロセスに習熟したはずが、応用のできない習熟だったのです。

そんな人も同じ職場でいたなら、幸せだったかもしれません。しかし、世の中は常に変化していますので、やり方も常に工夫しないといけません。

ソフトウェア開発には、プロセスの正しい理解必要です。考えなくて良いプロセスには、トレードオフが存在するのです。

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