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SEA関西「ぐるぐるDDD/Scrum」 - モデルは実装のうずまきで洗練される -

第53回SEA関西のプロセス分科会では、原田騎郎さんをお迎えして「ぐるぐるDDD/Scrum – モデリングと実装のうずまきをまわそう」というワークショップをお願いしました。

概要

スライド前半の説明の後、50分間で2回繰り返して、駐車場のシステムをモデリングして開発しました。分析はホワイトボードで行い、開発は得意な人にしていただきました。隣のチームは模造紙とメモパッド(付箋)も使っていました。今回は スクラムらしい役割分担はしませんでした。

感想

早期に実装を始めるやり方は、「コタツモデルを実現したスクラム開発」に書いたように、実装を考慮しないことによるリスクを下げるものだと考えていました。しかし、このワークショップは、短期間の作業の繰り返しで、より小さく、よりコアな仕様をみつけるためのものでした。

仕様を決めようとすると、ついつい大きな仕様になりがちで、実現できなくなってしまいます。これは開発者が議論に入ることで、ある程度押さえる事ができます。しかし、開発者は開発者でモデリングをやり過ぎしたり、枝葉の詳細な仕様にこだわってしまいがちです。

そこで、一定期間ごとに「小規模ながらも価値を提供する実装おこなうこと」を制約と与える事で、よりコアな仕様を考ざるを得ないように関係者を追い込むという方法がとられたのだと思いました。

良くできたトレーニング

初めて参加した原田さんのワークショップは「スクラムを味方につけろ! - SEA関西プロセス分科会 -」の元になった時のもので、プランニングポーカーを使ったワークショップでした。

記事に書いた改善が実感できたほか、「なるほど、見積もるだけでなく情報共有にもなっているのか」という感覚が理解できました。得るものが実感としてどっしりときます。

これは、明確なゴールに向けてトレーニングが構成されているからだと思います。テーマや進め方がきちんと構成され、ワークショップの途中でも何度か言葉をかけられていました。

より良く進めるにはドメイン知識が重要

ワークショップ中の原田さんの指導を思い返すと、それはツボを押さえた言葉でした。指導された際の「このワークショップは何度もやってるから」との言葉は、ドメインがわかっているからできるということだと思いました。

つまり、開発者が言語を知っているだけではダメで、テストコードとセットで開発できないといけないように、仕様を決める人は幅広くドメインを理解していないといけません。どのようなバリエーションがあり、どのようなモデル化が良いか、どのような実装が可能か、仕様決定者、モデラー、実装者がともに知恵を出し合うことで、コンパクトでより価値のあるコアな部分を見つけ出す事ができると思います。

今回はプロダクトオーナーを決めませんでしたが、このように考えると(少なくともDDDをScrumで回す場合には)プロダクトオーナーがチームの上に立つものでないと思われます。ドメイン知識を提供し、開発者などのステークホルダーの協力を得て、仕様を分割して優先順位を決めていく役割だと思いました。

ワークショップでは議論が重要

人にモノを伝えることはとても難しいことです。複雑なものをそのまま伝えると理解してもらえないので、ある程度は単純化して構成する必要があります。

しかし、良くできた発表やセミナーであるほど単純化されていますので、実践するにはそれ以外の事を聞き出さないといけません。それは質問や議論によって可能になります。

質問時間のない講演もありますが、講演だけで得られるのは気付きや情熱です。使える技術を得ようとするなら、質問するとか、懇親会に出てお話するなど、より詳しく聞く必要があるでしょう。

まとめ

より良いモデルを作るには、よりシンプルな実装をしようとする事で、本質が見えてきます。DDDとスクラムを組み合わせるメリットは実現可能性もありますが、短期間という制約によるよりコアなドメインの実現が容易になる点だと思いました。

講師の原田さんは「できる人を観察して勝負する」に書いたような人だと勝手に思っています。わかり易く明確な意見を述べられますが、質問すると立場論ではなく率直な意見を答えてくださいます。

そのようなトレーニングは、「竜馬がゆく」での西郷隆盛を評してかかれた言葉「小さくたたけば小さく鳴り、大きくたたけば大きく鳴る」というイメージのものです。得るものは大きいと思いますので、ぜひ質問をされると良いと思います。

いつも色々面倒臭い質問をしてご迷惑をおかけしていますが、とても勉強になっています(「自己組織化あるいは自律的組織」にも書いたUAS3のアジャイル放談参照)。今回も色々勉強させていただきました。ありがとうございました。


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