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構造化された技術発表 - アカデミアとの壁・その3 -

少し間があきましたが、アカデミアとの壁(言葉の定義巨人の肩に乗る)の第3回です。

技術発表には、読み易いバランスの比率がある

さかば流・論文作法 その1 - 論文の構成 -でまとめた各項目は、おおよそ以下の比率で書いています。

  • タイトル・概要:5%
  • はじめに:10%
  • 関連研究:15%
  • 提案手法:20%
  • 評価(実験)方法・結果と考察:25%
  • おわりに:10%

論文10ページなら10%が1ページになります。 これは口頭発表でもあまり変わらず、 20分の発表でスライド20枚なら5%で1枚です。内容によって分類を変えたり、比率を変えるなどします。

言葉の定義をしてから使う

仕様書の用語集のような書き方ではなく、「はじめに」や「関連研究」の説明の中で、説明に必要な用語を文献からの引用と共に示します。

前提やコンテキストが不明な用語で議論すると、イメージする言葉の意味は百者百様になってしまい、話が通じなくなるからです。

インパクトは不要。先に答えと内容を言う

上述のような構造に分けて説明することが前提なので、インパクトのある写真を入れると構造を乱すかもしれません(技術発表はわかってもらうことが目的です)。

技術発表では、先に答えを示すことで論理的な構成をわかり易くします。円蔵さんの落語、刑事コロンボ、偉人伝、の様な構成と言えば良いでしょうか。驚かせるのではなく、「なるほど」と味あわせる構成です。

内容は一つに絞る

上に書いたように本筋の話は半分ほどの時間しかありません。何とか時間におさめるようとすると、内容は必然的に限定されます。

巨人の肩に乗ることで、オリジナルの所だけに集中して説明できます。この方法は合理的で、いわば技術の差分プログラミングのような表現法です。余分な事は言わず、言いたい事と言わないといけない事を切り分けて、必要なことだけを説明します。

その反面、関連研究まで知らないと理解が困難になります。畑違いの研究会では、聞く場合も苦痛ですし、話す場合も基本的な内容から説明しないといけません。このようにして、色々な研究会ができたのだと思います。技術者がわからないと思うのも無理はないのです。

おわりに

このような技術発表は、技術の前提(あるいはコンテキスト)と限界を示しつつ、有効性と信憑性を示します。その内容がぴったりと当てはまる範囲はそれほど広くなく、自分の役に立たないと感じる方もおられるでしょう。でも、それが積み上げ可能な技術だと思います。

勉強会の増加に伴って、技術の敷居を下げる発表や、新しいムーブメントを紹介する発表が増えてきました。それらは、技術者のコミュニティを作り、参考になる情報の共有を促進しています。しかし、情報共有でとどまっていたのでは、技術力は向上しません。

色々な人に響くモノがあるスライドは、参加者の満足度を高めます。サービス精神に敬服するものもありますが、発言に裏付けがない場合は安心して使えません。

また、これからは「XXだ!」とブームを作ろうとする発表は、モチベーションを高める効果があります。その一方で、発表が一面的であったなら、多くの失敗プロジェクトを生み出してしまうでしょう。

巷には言いっぱなしの発表が満ちあふれています。これだけでは、様々な方法論が生まれては消えていった1980年代のソフトウェア工学ブームの二の舞です。技術は積み上げ可能にしないといけないのです。

今やチェスやオセロなどボードゲームは計算機にとっては難しくない分野になりつつあるのかもしれません。しかし、総当たりの単純なアルゴリズムでは時間がかかりすぎることが知られるまでは難しい研究分野だったと思います。

それが今のように進化できたのは、(私には難しかった)計算量の研究によって限界が示されてアルゴリズムの研究が進んだからでしょう。技術の前提や限界を示すことで、他の人が適用分野を広げてくれるのです。

全ての技術者が必ずしもアカデミアを意識する必要はないと思いますし、高度で複雑な実践をしているのは技術者でしょう。しかし、技術者同士のコミュニケーションが仲間内でとどまって発展性が無いのなら、それは国家的、いや世界的な損失だと思います。けっして、大げさな話ではないと思います。

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