[#TiDD] AsIsとToBeの視点によるチケット駆動開発の事例の考察 - 坂本記念WorkShop -
SEA SPIN(SEA関西ではなく本体の方)の「坂本記念WorkShop」に参加してきました。
坂本さんについて
この「坂本」といのは、オムロンの故坂本さんです。坂本さんは、社内のプロセス改善を進められる中で、CMMに興味を持たれ、活用されました。
坂本さんは単に社内でCMMを活用されるだけでなく、SEA(ソフトウェア技術者協会)やJASPIC(日本SPIコンソーシアム。SPI:プロセス改善)の活動、著作を通じて業界内での普及にも貢献されました。
CMMのころは全面的に応援され、CMMIになってブームが来た頃にはレベル達成を目的としたプロセス改善活動が増えてきた事に警鐘を鳴らされていました。
坂本さんの言葉
ワークショップでは、多くの方が坂本さんの思い出、あるいは、テーマの定量化に関する発表がありました。
ピープルウェアや「日本のソフトウエア産業、衰退の真因 」で有名な松原さんは坂本さんの思い出として、「士農工商メカエレキソフト」という言葉を取り上げられました。そして、縦社会の中で情報は上から下へ流れ、その中でソフトウエア技術者は、システム全体を把握できる最も有利な立場にいる。また、ソフトウェアは他の専門分野の知見を利用できる。とされ、坂本さんは外からの助言を改善に活かそうとされた。と話されました。
愛弟子の高木さんは、坂本さんの博士論文(PDF)から改善を難しくするものを話されました。その中では特に「改善成果が出るまでには時間がかかる」とされているが、結果をすぐに求めて、単価を値切るなど「悪魔のささやき」に負けてしまう。というお話が印象的でした。
濱崎さんは坂本さんの言葉をいくつか取り上げられました。その中でも
「基本手順なんてもんは、そのままやったら60点取れへん人達を、なんとか60点取れるようにするためのもんや。100点取りたかったら自分で工夫せんとあかん。」
という言葉が印象的でした。思い起こせば、坂本さんは社内の開発標準を厚くしないで「考えろ」と言っている。と話されていました。
AsIsとToBeの視点によるチケット駆動開発の事例の考察
初めに書いた坂本さんのCMMの活用方法は、以下の手順でした。
- 社内の状況をAS-ISマップでモデル化する
- 問題点を見極める
- CMMのプラクティスから対応策を探す
- 改善活動をする
業務モデリングにAS-ISからはじめるかTO-BEからはじめるかの議論があるように、プロセス改善もあるべき姿(TO-BE)とのギャップ分析から始める流派と、現状(AS-IS)から始める流派があると思います。
坂本さんは、TO-BEというべき段階モデルしかなかったCMMのプラクティスを用いながらも、AS-ISから始めるという現実的な改善活動をされている方でした。
そこで、今回はこの2つの視点でチケット駆動開発の事例を考察して、発表させていただきました。
資料に出てくる3種類の事例については、SPI Japan 2013で発表させていただことになりました。ご興味があれば、ぜひご参加ください。
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