[#TiDD] 時計を選ぶなら - チケットシステムがスプレッドシートより優れている点 -
針のある時計は便利
私は針のある時計を好みます。高級な時計ではないので、針の動きが荒いかもしれませんが、デジタル表示よりは針の方が使い易いと思っています。
ぱっと見た際にだいたいの時刻がわかりますし、(この頃は滅多にありませんが)誰かに「今、何時?」と聞かれて、30秒を過ぎているから繰り上げて言おう、などと考える必要もないのです。
これは本来の機能は同じでも、その実現の方法によって価値が代わる事を示していると思います。
チケットシステムの利点
これまで、スプレッドシートのファイル共有で開発の管理してきた人は、機能だけを考えていると、チケット駆動に移行できません。チケットシステムに存在する以下のような利点を考慮する必要があります。
- 分散かつリアルタイムで更新できる
- メール、RSS、Eclipse等とも連携できる
- 議論や経緯が残る
- 結論が出る前に状況を共有できる
- 様々な条件で検索できる(チームの視点、個人の視点、リリースの視点、etc)
- 新しい帳票を作るのは大変だが、チケットの種類やレポートは簡単に増やせる
- 複数の参照形式(レポート)を共有できる
- 双方向リンクが容易に実現できる(wiki、ITS、VCS、その他ツールのハイパーテキスト)
- ファイル共有に特有のトラブルがない
デジアナ好き
私が買うのはいわゆるデジアナで、針の表示だけでなく、デジタル表示のあるものです。アナログ表示の良さは認めるものの厳密な表示やストップウォッチなど、デジタルでないと実現できない事があるからです。
もしものための環境構築で書いた様に、ソフトウェア開発では常に「もしも」を意識して行動する事が求められます。
アジャイル開発ではいわゆる「貼りもの」が好まれる傾向があります。貼りものには、自然と目に入る、アナログ時計の様に状況を大まかに把握できる、という利点があります。その反面、貼りものは後から探す事が難しく、その点はチケットシステムに負けるでしょう。
そこで、写真を撮る、デジタル入力も行うなどして、記録を残すことも行われている様です。逆にチケットの欠点を補う目的で、チケットを印刷して貼っている方もおられます。
アジャイル開発が普及している海外では、ソフトウェア開発はユーザ企業で行われている事から、開発者がそのまま継続して運用・保守することで、自然とDevOpsが実現されているのかもしれません。
そのような場合、それが開発会社の瑕疵であるかどうかはもちろんの事、人が代わってわからないので、どのような経緯でそうなったかを確認することが重視されないのかもしれません。人の入れ替わりが少ないなら、担当者はだいたいの経緯や構造がわかっているので、経緯の確認よりもこれからを検討することが重視されているのでしょう。
これから開発するソフトウェアがどのようなもので、どのような体制で開発されるかなど、様々な状況を考慮して必要なものを選ばないといけないと思います。
おしゃれな人にはおしゃれな日常生活防水の時計で良いかもしれませんが、ダイバーにはダイビングにふさわしい時計があります。プロには仕事に必要とされるプロの道具が必要なのです。食わず嫌いではなく、きちんと理解した上で、ふさわしい道具を使いましょう。
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