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技術者には「場」が必要 - 勉強会に行く理由 -

大学の研究室は「場」

先日、大阪電通大でお世話になった先生の退職記念パーティがありました。その先生は、大阪電通大卒業後にそのまま研究員になられ、その後教員になられたので半世紀もの間、大阪電通大に関わられました。

研究室の卒業生は三百数十名です。同時期に退職された先生が100人を超えたので、それを超えるように言われた幹事役の先輩の努力もあってか、200名を超える卒業生が集まりました。ほとんどが1年しか在籍していない学部卒である事を考えると、驚異的な人数が集まりました。

パーティの挨拶ではその事に触れられ、「教師にできる事は『場』を作る事、これだけ集まってもらって、その事はできていたようです」と言われました。

先日のブログで、この先生の「職人になるな。勉強を続けなさい!」という言葉を書いた「社内勉強会より社外の勉強会」およびその続編「社内内弁慶を社外勉強会に参加させる方法」を書いたところ、多くの方に読んでいただいて驚いています。

色々なコメントを読ませていただいて、まだ本質が語れていなかったように思えましたので、記事の背景についてまとめておこうと思います。

技術者の「場」

このつぶやきで引用させていただいた記事には大賛成です。それは「場」を作られているからです。

技術者にとって、新しい知識を得たり、議論をして考えをより深めたり、実践する事はとても重要で、必要に応じてその「場」を選べば良いと思います。

深堀りするには、つぶやいた研究室のようなアプローチが有効です。また、新しい分野への理解や技術全体の体系的な理解を図るなら専門家や実践者、つまり本物に直接聞くのが早道でしょう。

独学の難しさ

場合に応じて本を読んだり、バーチャルプロジェクトをするのも良いですが、つらい時もあります(というか、私はなかなか続きません)。

最近は読書会形式の勉強会があって、大学の輪講のように読んで来た所の説明や意見交換をされている様です。一人で読んでいると、難しい本は続かないのですよね。

バーチャルプロジェクトを個人でやるのも、途中でネタが尽きるので苦しいです。研究のための Toy poject や Thesis Software のように、良い所で煮詰まってしまい、やる気が続きません。

オープンソース開発をするか、mrubyの@masuidriveさんのように「仕事でやらないと分からない」と思います。

社外勉強会という「場」

社外勉強会はとにかく「楽ちん」です。興味のあるテーマや自分の都合で選んで参加します。1週間とか1ヶ月かかりそうな本でも、ほんの数時間でそのエッセンスがわかりますし、読んだ本ならさらに理解が深まります。

また、個人で最新の動向を知るのは大変ですが、勉強会で知り合った人とTwitterやFacebookのIDを交換すれば、同じ分野に興味を持つ人の最新情報が入ってきます。いわゆるアンテナを張る事ができます。

そして何より、楽しいという事が一番でしょう。他の技術者とのコミュニケーションは共感できる事が多いですし、直接会って話するとネットワークでは得られない刺激的なお話が聞けます。

一人で勉強していたなら長時間かかる「答え」を教えてもらえます。例えば、Rubyは以前から愛用していますが、その良さを「思った通りにプログラムが作れる」と一言であらわしたり、オブジェクト指向に詳しい人とDDDや要求開発の話をしていて、実はアジャイル開発と同じ様に「モデリングは設計の時点では遅すぎる」がポイントだとか、詳しい人からでないと聞けない視点を聞く事ができます。

つまり、「勉強会」そのものだけでなく、様々な出会いが勉強になります。技術の全体像がわかり、個々の技術の位置付けがわかりますし、具体的なお話や業界の動向を感じ取れます。

何年かごとにお客さんが代わるとしても、一生の間に経験できる業務は限られています。しかし、少なくとも出会った人数だけのプロジェクトで得た知識を交換する事ができるのです。

仕事にも生かせる

もちろん勉強会で得られるのは知識です。ワークショップやハッカソンで実践しても 業務経験は得られません。

でも、以前からクラウドに興味があり、お客様に経験を聞かれた時の事を想像してみてください。あなたは「私は経験がありませんが、会社に経験者がいます」と誰か連れてきますか?

そこで、「経験はないですけど、一緒にやらせてください。アマゾンのGlacierとか、今の業務にも向いていると思うんですよね。」と言えたなら、同僚やライバル企業にチャンスを奪われないかもしれません。

すでにお客様の仕事をしていたなら、業務に関する知識があるはずです。その経験を生かして、やりたかった仕事ができるのです。お客様にとっても業務知識のある人ならリスクも少ないですし、専門知識が重視されるなら増員や協業も選択できるでしょう。

興味を持たないと成長できない

勉強と言うのは興味を持たないとできません。社内・社外を問わず無理矢理に勉強会に送り込んでも身に付きません。義務感や強迫観念ではなく、本人が興味を持ち、楽をする、楽しむ、といったポジティブな姿勢にならないと、必要最小限の情報を得たらそこで終わりになります。

モンテッソーリ教育のように、敏感期を活かしてとことん勉強することが成長につながると思います。 仕事のためとか、技術者として、ではなく、豊かな人生を送るための勉強でないと続かないからです。

IIJのCEO 鈴木幸一さんに本田宗一郎さんが贈った「濡れぞうきんは絞るな!」というガチガチの管理を戒める言葉があります。不景気な時代が続いたので、世の中には乾いた雑巾を絞るような雰囲気が蔓延しています。しかし、ぞうきんも湿らさないと機能を果たせない様に、技術者は新しい知識を得なければ未来を築く事はできないのです。

技術者は状況を判断して適切な技術を適用するのが仕事です。仕事だけでなく、技術の獲得の際も適切な「場」を選びたいですね。

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