SCRUM BOOT CAMP THE BOOKからの学び
ようやく読み終えたので、内容の感想を書きます。この本は、とても読み応えがありました。特にシーン20以降は実践的で、経験の少ない方にはぜひ読んでいただきたい内容でした。
マンガが載っているので入門書だと思って読むと、実践的なノウハウがたくさん詰まっていてきっと驚かれるでしょう(これには構成による効果が大きいのですが、それは別に書く事にします)。
この本はスクラムと書名に入っていますが、スクラムの内容はスクラムを始める際に必要なものに限定しています。その反面、必要な内容はスクラムでないことも載っていることは、以前書いた通りです。
この本には3つの大切な事にたくさんのページを割いています。
準備
インセプションデッキや見積もりなど、開発を始める前にする事が多く書かれています。アジャイル開発は実装優先のはずですがなかなか開発が始まらず、1/3が準備に割かれています。
確認
インセプションデッキから、スプリント計画ミーティング、スプリントレビュー、そのほか全てが常に確認・改善されながらお話が進んでいきます。透明化によって問題を見える化し、確認する事が大切なのだと思いました。
タイムボックス
この本の中で、「プロジェクトの先を見通すために、タイムボックスは必要なんだ」と力説されているのがタイムボックスです。ベロシティをきちんと測定するには、タイムボックスを守らないと行けません。
これは、スプリント計画ミーティング、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)の比率を一手に保つためにも必要な事でしょう。また、本には書かれていませんが、チームのリズムを守り、効率的な開発を維持すると言う側面もあると思います。
スクラムは「アジャイル開発とスクラム
」にあるように、オブジェクト指向から考えられたプロセスです。カプセル化のモチーフになったとも言われる小さな細胞の組み合によって実現される大きな生命体の様に、確実なプロセスを積み上げないといけません。
そのようなスクラム開発だからこそ、きちんと準備され、確認され、タイムボックスできちんと管理されたプロセスが必要なのでしょう。そしてそのような開発を通じた実践的な「学び」を続ける事が、本当の意味の「守破離」の道なのだと思いました。
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