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住宅ローンの金利交渉と固定金利にした際の記録

住宅ローンの優遇金利の相談をして固定金利に変更してきました。今後のために覚え書きを残しておきます。

課題

我が家のローンには2つの課題がありました。

(1) ローン金利は1.6%優遇で契約したが、契約後に1.8%優遇で募集された

優遇金利は初回だけでなく、固定・変動を何回繰り返しても適用されるタイプです。給与振込、公共料金やカードの引き落としなど、取引量によって優遇されるました。契約時に最も優遇された条件でしたが、その後にさらに条件が良くなった様です。変動金利で1.1%を切っていたことや大きな差額ではないので、あまり気にしていませんでしたが、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

(2) インフレ政策への不安

政権が交代になり、デフレ脱却というスローガンが出てきました。目標の2%にならなくてもその半分の1%になったとしても、優遇後の変動金利が1%前後ではなくなる可能性があります。仮に金利上昇が1%としても1000万円で年10万円、月にして8000円ほどになります(実際には元本の返済分は減ります。逆に期間が長いと複利計算によって増えます)。

インフレになると長期金利が上昇すると言われています。変動金利の基準となる短期金利は政策によって変わりますが、インフレ対策が必要になるので長い目で見ると固定金利の基準である長期金利と連動すると言われています。これからすると、変動金利が上がりだす頃には固定金利が上がっていることになります。

もちろん、インフレになっても景気が上向かないいわゆる「良くないインフレ」なら景気刺激が必要なので変動金利は上昇しにくいのでしょう。逆に、景気が良くなっていれば給料が上がっている可能性もあります。騒がれているほど変動金利を危険だと思う必要はないのかもしれません。

ただ、私の場合はローンの残期間や年齢を考えると、固定金利にして安心したかったので、固定金利に変更する方向で検討しました。

金利は交渉ごと

実はローンした金融機関に勤めていた人から、「金利は交渉ごと」と聞いた事があります。確かに、返済が滞った際には返済期間の延長など色々な交渉がある事はニュースなどで知られています。とはいえ、どのような交渉が可能かはあまり知られていません。

詳細は聞いていなかったので、初回のローンの契約の際に「金利は交渉ごとと聞いたのですが、もう少し安くなりませんか?」と聞いてみました。その際には「金利は交渉ごとですが、決められた優遇しかできない」と言われました。しかし、その際に2つのテクニックを教えてもらえました。

1つは、その金融機関の使える保証機関が二つあって、条件が厳しい方を選んで保証金を安くする方法。もう一つは火災保険を選ぶ事です。その金融機関以外のところですると安くできる可能性があるとの事でした。実際、特約を選択できるものにする事でかなり安くなりました。

金利が交渉できなくても、専門の方とお話しをする事で情報が得られる可能性はあるということです。

対策

これらを踏まえて、相談に行きました。まずは、ダメモトで優遇金利の相談をした上で、10年の固定金利にする事にしました。10年固定なら利用している金融機関では変動金利との差が0.225%なので、うまくすればほとんど支払いが変わらないからです。

ただ、気になったのは交渉ごととはいえ、金融機関にもメリットがないといけませんし、少なくとも必要性を感じてもらわないといけません。そこで、優遇金利を下げてもらわないと他の金融機関が有利な場合がある事を確認して、交渉というよりは相談のスタンスでお話しすることにしました。

金融機関は平日でないとやっていませんので1月4日の客先の休みを利用して相談に行きました。まずは優遇金利の相談です。相談が2つある事を話した上で次の様に話しました。

  • 契約してから優遇金利が下がった
  • 他の金融機関も同等以下の金利になっている
  • 借り換えをするのは面倒なので金利を下げて欲しい

嘘を言う必要もありませんし、素直にお話ししました。対応された方は「良くご存じですね」といやがるそぶりもなく、色々と教えてくださいました。優遇金利を下げるには「稟議を通さないといけない」とのことで、以下のような事を検討する様に言われました。

  • 別の支店にある給与振込を変更する
  • 親の年金の振り込み口座を移す(同居でなくても良い)

どれも引き落としの変更などを考えると面倒なので、金融機関の残高が増えれば良いのだろうと「定期預金でどうか」と聞きましたが、それだけではだめで、

  • 家族の口座を作成

とのセットで、稟議を出してもらう事にしました。たぶん、預金残高ではない重視される指標があるのでしょうね。

金額についてもやりとりがあったのですが、それは金融機関や担当者で異なると思いますので、必要な方は金融機関に相談してください。

なお、その時点でも支払い能力のある顧客でないといけないようで、源泉徴収票の提出も求められました。

手続き

ローンの契約よりは、はるかに簡単でした。住所、氏名、残高、金利など、契約変更の書類を何種類か書きました。本人確認のために免許証などの提示も必要です。また、手数料の5250円の振替伝票の記入も必要でした。

稟議を通してからの契約になりますので、相談と契約は別の日になります。平日は難しいので、休日契約用の窓口で契約させていただきました。

注意点

私の場合は10年経てば退職金で返済できる可能性もあり、優遇金利の変更で支払いが現状とあまり変わらないことから10年固定にしました。これは誰にでも当てはまらないので、ローンの契約や期間、ライフスタイルを含めて検討する必要があります。

その際に注意しないといけないのは、選んだ期間だけでなく、全期間が同じ金利で計算される事です。長期間安心したいからと長い期間固定すると複利計算で結構高くなる可能性があります。

また、固定にするのは安心を買うためですが、固定期間の後半で大きなインフレになった場合はあまりメリットが得られません。メリットがないままほとんどの期間が終わり、次の固定期間に入る直前でハイパーインフレになって、逃げ損ねる可能性もあります(借り換えや一部返済という対策はあります)。

まとめ

変動金利から固定金利に変更した際の経験をまとめました。金融機関によって金利は異なりますし、交渉できるかどうかや条件も異なるでしょう。また、現状の契約やライフスタイルなどによって考える事も変わるでしょう。

契約変更の際に聞いた話では、いまのところ7:3で変動金利を選ぶ人が多い様です。そんなに急にはインフレにならないと思われているか、少しでも安い金利ということで選ばれているのでしょう。

私は金融のプロではありませんので、これから経済や金利がどのようになるかわかりません。ただ、素人だからこそ金利の動向や残期間を意識するなど、心の準備はしておくべきだと思います。

個人的な経験をまとめただけですが、何かのご参考になれば幸いです。

おまけ(豆知識)

変動金利は契約の翌月である開始月の金利が6ヶ月継続されますが、固定金利は契約書に金利を書きますので、当月の金利で固定されます(1月28日追記)。

[#TiDD #agile] アジャイルプラクティス導入の効果パターン

プロセス改善する際にアジャイル開発のプラクティスを導入する場合、組織の状態によって効果が変わります。個人的に感じている傾向がありましたが、コミュニティでのお話や最近増えてきたアジャイル開発の記事を読んでいると、いくつかのパターンがあるのではないかと思いましたので、イメージを図にまとめてみました。

Practicesandeffects

2割8割

典型的なパターンと考えていたのは、パレートの法則として知られている2割8割の法則に従ったものです。組織の大きな問題を解決する2割のプラクティスによって、8割の改善効果が得られます。しかし、その後は導入コストがかかるものの徐々に改善の効果が少なくなってしまうパターンです。

このような曲線を描くのは、ビジネスと作る人との距離が近いなど、アジャイル開発の目指している方向に改善が進んでいる組織です。大きな問題が少なくなっているので、それを改善する事で大きな改善が得られるでしょう。

後半に効率が悪くなっているのは、スコープ変更の壁があると考えているからです。TOC/TOCfE関西分科会の感想 で書いた様に、CCPMでもアジャイル開発の目指す物の多くは実現できます。しかし、柴山さんのスライド「NTTデータはどうやってCCPMを導入したのか?」のマネジメントトライアングルに示される通り、アジャイル開発ではスコープを可変するという特徴があるからです。これは、契約とも関係しますので、組織的なコミットメントが必要になり、アジャイル開発の最後の壁になると思っています。

このほかにも、SEPG Japan 2014で乗松さんが「問題解決重視とモデル重視 ~組織に合ったプロセス改善モードを探す~」(PDF)で発表された様に、ほかの壁や罠があるかもしれません。

順調

特に大きな問題や壁がない場合、順調にプラクティスを導入できるかもしれません。UAS2の記事に書いた様に、タイムボックスを守ってスコープを変更することもプラクティスです。ユーザがリスクを取ってでも、より最適な開発するという意識があれば、この壁(グラフのへこみ)はなくなってより直線的なグラフになると思います。

もし、時間をかけて導入するなら、不足しているプラクティスに代替プラクティス代わるが代替プラクティスが用意されるかもしれません。そのような場合、代替プラクティスで最適化されて、全てのプラクティスを実践する前に最適なプロセスに至るかもしれません。

このように全てのプラクティスの導入が最適なプロセス出ない場合、一旦全てのプラクティスを導入した方が、効率的な場合もあるでしょう。全てのプラクティスを導入する事で、プレクティス間の関係の理解を深めることができるからです。

障壁

最近の記事で、アジャイル開発の導入によって期間短縮とコスト低減を実現したとの記事がありました。

アスクル、コールセンターをアジャイル型の手法で刷新--期間は3分の1、コストは5分の1に

この記事では、アジャイル開発によって早い時期から業務ユーザが参加する事ができた、とされています。しかし、このようなフロントローディングだけであれば、アジャイル開発でなくても実現できるでしょう。

この事から考えられるのは、より良い開発プロセスを実現できるような工夫、たとえばプロトタイピングや段階的なリリースなどが実施できない文化があったのかもしれません。アジャイル開発は工夫をしなくてもより良い開発を実現できるプロセスと言えるでしょう。

このように、障壁となる文化をなくして一気に改善する方法として、一気にアジャイル開発を導入することが考えられるでしょう。その際は、全てのプラクティスを導入しただけでは、文化までは変わっていない最適ではない状態である事を認識してください。

また、こんな記事もありました。

[覆面座談会]現場ではケンカが頻発 「アジャイル」成功・失敗の分岐点(1) :日本経済新聞

ひどいお話です。この開発を主導した人はきちんと理解していたのでしょうか?具体的なイメージが抱けていたのでしょうか?アジャイル開発であれ、なんであれ、どのような仕組みでプロセスが構成されてメンバーがどのように行動するべきか、わかっていなければうまくいく事はないでしょう。

第1ステップとしてのチケット駆動開発

最初に示したグラフは、私のイメージした典型的なパターンです。変化のより激しい場合や、その時期が異なる場合、そして、組み合わせたパターンも存在します。

組み合わせのパターンで典型的な物は、チケット駆動開発からアジャイル開発に移行するパターンです。意図して 第1ステップとしたかどうかは別として、現状の問題解決の手段としてチケット駆動開発を導入する方法です。

アジャイル開発の効果を理解した上でチケット駆動開発を導入すると、アジャイル開発の特徴である見える化やリズムなど、理解しにくい知識を経験できます。そしてイメージできる様になってから、アジャイル開発に移行するパターンです。

このパターンを利用すると、上で引用した失敗パターンの危険性は低くなります。ただし、チケット駆動開発もイメージできないとうまく実施できませんので、まずは障害管理から始める事をお勧めします。

言葉の定義(まとめに代えて)

「アジャイル開発とは何か?」良く聞かれる質問です。私は「アジャイルソフトウェア開発宣言」にある、価値と原則を満たすプロセスだと考えています。少しでも満たさなければ、アジャイル開発を理想としていたとしても、それは「アジャイル開発をベースに最適化した開発」あるいは「アジャイル開発をめざしている開発」であり「アジャイル開発」とは言えないと思います。

また、アジャイル開発を参考にプラクティスを導入しても、タイムボックス管理に伴うスコープの変更を基本としない、それとは異なる最適化したものを理想とする場合もあるでしょう。これも「アジャイル開発」ではありません。

また、上に挙げたUAS2の記事の様に、アジャイル開発の基本であるタイムボックス管理に伴うスコープの変更は行うものの、アジャイル開発の価値と原則を全てを満たそうとしていないので「アジャイル開発」ではありません。これらをなんらかの言葉で表現する場合、定義して使う必要があります。

アジャイル開発は、より良い開発を実現できる工夫(プラクティス)があらかじめ組み込まれたプロセスです。プラクティスやその仕組みが広く知られ、「アジャイル開発とは何か?」を説明しなくても良くなった時、言葉の定義の問題は自然となくなると思います。そのような時を心待ちにしています。


アメーバ経営はGQMアプローチだった - より良いメトリクスを考える -

アメーバ経営の本を2冊読み終わり(感想1感想2感想3)、ゆっくり考え直して気づいたのは、著者の稲盛和夫さんのアプローチがGQMに沿っていたことです。

ゴールに直結するメトリクス

GQMに関してはメトリクスの特性の記事でも、分析の起点として使わせていただいた有名な方法です。GQMはメトリクスを決める際に、ゴールから出発して、ゴールを定義する質問を考え、それを元にメトリクスを決める方法です。

「計測できない物は制御できない」という言葉がありますが、数値でなくとも何らかの見える化がされないと、コントロールはできません。しかし、計測できれば制御できるかと言うと、必ずしもそうではありません。

ソフトウェア工学の研究で良く行われる方法の一つは、品質や生産性などのゴールがあり、それと関連があると思われるメトリクスの有効性を統計的に示すと言うアプローチです。

この方法はそのメトリクスの有効性は示せます。しかし、そのメトリクスに合わせてコントロールすることが、ゴールに近づくかどうかはよく考えないといけません。

たとえば、お菓子を提供するとやる気が増して信頼性が向上するという仮説を立てます。業務やメンバーの特性を調整した複数のプロジェクトを用意して、お菓子を提供したグループの信頼性が高い事を統計的に示します。

仮にお菓子の提供によって信頼性が上がった場合、必ずしも本質でないかもしれません。実はお菓子を提供する事で、開発者が同時に休憩する事が増えてコミュニケーションが良くなったのかもしれません。だとすると単にお菓子の提供の有無ではなく、その提供方法や同時に休憩できる場所の有無が重要なのかもしれません。

このように考えると、ゴールに直結するメトリクスが「より良いメトリクス」だと思います。それを導きだす手法を形式化した物が、GQMなのです。

アメーバ経営のアプローチ

稲盛さんは技術者出身で、京セラを創業された時は「会計については何も知らなかった」そうです。そんな稲盛さんは本質を知るために当時の経理部長と多くのやり取りをされた様です。

そして、多くの激論を通して得られたのは会計の常識ではなく、より本質である「売り上げを最大に、経費を最小に」という原則と付加価値のメトリクスである「時間当り採算」にたどり着かれた様です。稲盛会計には多くの原則がありますが、特にこのルールは(意識されていない物の)GQMのアプローチで生まれたメトリクス定義だと思います。

ソフトウェア開発において、その実施が難しければ代替プラクティスを採用するように、直接収集が困難な場合はついつい代替メトリクスを用いている場合があります。しかし、これは次善の策であって、もしかするとお菓子の例の様にゴールから遠ざかっている可能性があります。

また、それがゴールに直結しないと思っていても、ついついメトリクスを良くする事が目標になってしまいがちです。その組織に取って何がゴールであるかをきちんと見極めて、その実現を可能にするメトリクスを定義する必要があると思います。

アメーバ経営は会計の常識に従った代替メトリクスではなく、より本質的なゴールに直結するメトリクスを採用しました。そのメトリクスによって、 ビジネスに直結する市場の状況が、各組織に伝搬し、見える化され、臨機応変な対応や、継続的な改善を実現したのです。

まとめ

かつては本業に付帯して受動的な「情報処理も必要」と考えられてきました。しかし、いまや本業をより良くコントロールするために、生き残りをかけて「情報処理が必要」になってきました。

管理を目的としたメトリクスではなく、組織の目的に合った良いメトリクスを定義して、活用する事が求められていると思います。

「チケット駆動開発の本質」に向けて #devsumi

デベロッパーズサミット2013で「チケット駆動開発の本質」と題した講演をさせていただきます(おかげさまで満席になった様です。ありがとうございます)。内容は主に挑戦の道具としてのチケット駆動開発をベースに行う予定ですが、より良い発表にしたいという思いから、考えを整理しておきたいと思います。

この発表の背景にあるのは、小川さんと書いてきた2冊のチケット駆動開発の書籍です。1冊目の「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」はRedmineを題材にチケット駆動開発、特にアジャイル開発の要素を取り入れて書き、2冊目の「チケット駆動開発」は1冊目で書ききれなかった内容を中心に、より幅広い議論を目指して書きました。

チケット駆動開発への思いはかつて書きましたが、2冊目の本は広い議論を目指しました。これは、我々には1冊目の本で思いを込めた様に、チケット駆動開発の実践を通じて思っている方向がありますが、世の中を見ていると元々の定義や我々の思いとはやや異なる方向でもチケット駆動開発と言う言葉が使われているからです。

チケット駆動開発を最初に提唱されたのはまちゅさんで、「No Ticket, No Commit!」は基本的なルールですが、いまやPivotal Trackerのチケットをストリートカードとして使う場合(リンク先はSocial Change!)もチケット駆動開発と呼ばれているほか、より簡便な使い方や、より管理的な使い方もされています。そのような中で現実を肯定して、様々な使い方の中で現場の問題を見極めて考えて使ってくださいと言うメッセージを送ったのです。

とはいえ、1冊目に書いたような熱い思いもあります。それを今、伝えようとしています。どうしようもないプロジェクトで見いだした一筋の光明、不安を感じて後ろ向きだった仲間達が前を向き、一歩ずつ確実にノウハウを蓄積し、互いに助け合う様になるための道具であったチケット駆動開発について話そうと思います。

チケット駆動開発は開発プロセスのゴールではなく、プロセスをより良くする道具だと思います。チケット駆動開発をどのように実践するかを考える事で、ソフトウェア開発の様々な問題をどのように解決するかが見えてきます。今回の発表を通じても、思いを整理する事や、感じた事、皆様の感想を踏まえて、また一歩、前に進みたいと思っています。

デブサミの短い時間ではそのすべてを語る事はできませんが、チケット駆動開発への思いを伝えたいと思っています。


自律的組織をメトリクスで方向付ける - 稲盛和夫著「アメーバ経営」その2 -

一言で述べるなら「すごい!」の一言につきます。

あとがきに「公開すべきでない」との意見があった事が書かれていますが、アメーバ経営(リンク先は稲盛和夫の経営哲学)の仕組みやノウハウが書かれていて「現場主義を浸透させるためのクレド(信条)」とでも言うべき本です。

アメーバ経営の特徴

アメーバ経営の特徴を私なりにまとめると以下になります(詳細は本をお読みください)。

  • アメーバと呼ばれる小集団が、それぞれが独立した工場のように自律的に管理する
  • アメーバの管理は出荷から経費を引いた付加価値を時間単位で管理する
  • 時間当りの付加価値は時間当りの採算と呼ばれ時間単価の目安になる
  • 付加価値の計算にはアメーバ間の取引我考慮されるが、労務費は考慮されない
  • アメーバ間の取引は商取引と同じで別のアメーバや会社に発注できる
  • 上司の役目にはマスタプラン(年度計画)によるアメーバの方向付けと調整やアメーバ間の値付けの調整もする
  • 全社的な原則とルールによって方向付けされる
  • アメーバの分割は、独立採算できる、ビジネスが完結する、会社の目的や方針に沿う事
  • アメーバの分割は見直される
  • 受注生産、在庫販売、社内売買のしくみが整備されている

興味深かった点

京セラ創業時の事業である受注生産がベースになっているようです。ファインセラミックの各工程が独立した企業で存在する事を参考に、アメーバに分割されていった様です。

アメーバ経営が興味深いのは、現場主義でありながら「時間当りの採算」という単純化されたメトリクスで見える化し、詳細な管理会計を実現するとともに経営の意思を浸透させているところです。

また、アメーバ間の値引きによって、市場価格が各組織にリアルタイムに伝播するのも、大きな特徴です。単なる分業ではなく、それぞれのアメーバ間で商取引を行う事で品質を維持します。

このようにお金に重点を置いた組織作りですが、短期的な成果主義を取らずに実力主義で評価され、アメーバの運営やアメーバ間の調整は倫理や哲学といった人間的な側面が重視されます。

このほか、組織がうまく回る様にシンプルで透明で公平な仕組みが随所に組み込まれています。

ソフトウェア開発に当てはめて考えてみる

ソフトウェア開発に当てはめて考えてみると色々な事がわかります。

ソフトウェア開発の経費の多くは労務費ですので、経営の手法と考えると労務費を組み入れないと難しいでしょう。アメーバ経営ではパートタイム労務費は経費と扱うので、それが参考になるかもしれません。

別のメトリクスを考えると、ベロシティが「時間当りの採算」に近いです。しかし、チーム間の比較が困難である事や組織全体の目標も立てられないので、利用は困難です。ファンクションポイントが簡単につけ得れば良いのですけど、、

品質が組織間の取引を通じて維持されますが、工程毎に区切るなら実現可能性や仕様を示せるプロトタイプがないと完結しません。ただ、アジャイルにしてしまってイテレーション毎に事業になるかと言うとそれはそれで難しそうです。

まとめ

以前の記事に書いた様にやはりメトリクスは重要です。また、アジャイル開発などともつながる考え方もあり、組織を考えるには非常に参考になりました。

その反面、ソフトウェア開発特有の難しさを再認識しました。やはり工場的な管理は難しく、人の側面をどのようにコントロールするか、全体をどのように見える化するか、それはソフトウェア開発に関わる私たちの課題だと思いました。

この本以外にも理論的な本がある様ですので、暇を見つけて読んでみたいと思います。また、いつか経営に近い立場になった時には、もう一度読みたいと思いました。


[#TiDD] ソフトウェア工学の憂鬱と回答

ここのところ、気になる記事がいくつかありました。

どれも間違ってはいませんが、「それだけではないでしょう」と思いました。

博士が現場にいない日本

高学歴の人たちはどこにいるべきなのでしょう。これまでは大学の先生になるのがお決まりのコースでしたが、いまやその道が狭いのは誰にでもわかる事です。中には学部や修士のタイミングで不景気だったからと、時間稼ぎで大学に残ったひともいるでしょう。それなら企業の人の参加するシンポジウムや勉強会に参加するなど、就職の準備をすべきです。

1998年頃だったでしょうか中国のある企業で名刺交換すると、ほとんどの方が博士でした。自分を基準に考えると専門分野に詳しいだけですので、博士だからといって優秀とは限りません。しかし、少なくとも基本は習っているはずですし、物事を整理してまとめる技術はあるはずです。正直なところ危機感を感じました。

日本の大学院では先生を除くと、優秀な人ほど大きな企業に、そして管理に近い部門に就職します。このため、大学院を出た人は発注や管理をする事はあっても、ソフトウェアの開発現場に関わられている方はあまりおられません。ソフトウェア産業の黎明期には高学歴な方もおられたようなので、給与とプライドの問題なのでしょうか。

ソフトウェア工学はエンジニアリング、しかも人に関わるところが大きいので、現場を無視する事はできないと思います。管理的な内容だけでなく、もっと現場で生きる研究がなされれば、博士が現場にいる事で生産性が上がる様になり、給与とプライドを手に入れる事ができる様になるのではないでしょうか。

ありがちな論文のパターンと論文の評価

ソフトウェア工学の論文にはいくつかのパターンがあって、それらを参考にすると論文らしい論文が書けます。良くあるのは、問題設定があって、それを解決するアイデアを示して、実験して、こんな効果があって課題はこれです、と言う感じです。

実際はそんなにうまくいきません。最初の思惑から外れて、違う結果が出た場合、それが発見だったりもします。そこで、問題設定を変更したり、場合によっては文献を探し直したりします。

実験をするのは効果を定量的に示したいからです。問題の解決法など評価対象の効果だけが示せる様に、それ以外の影響を除外して、なるべく統計的に示します。

論文は以前書いた様に新規性、有効性、信憑性で評価されます。新規性は関連する論文との違いから、有効性は既存の方法との効果の違い、信憑性は評価方法や統計的な効果で示すのがベストで、可能な限り定量的な数値があることが求められ、それ以外では、詳細な実施方法によって再現方法を示す事で信頼際があがります。

これらの評価には段階がありますが、正当な主張であれば必ずしも高い評価でなくても採録対象になります。シンポジウムや国際会議では採録される本数が決まっていますので、評価が高いだけでなく参加者が興味を抱く内容の方がが採録されます。

論文誌(ジャーナル)にも色々あって、採録され易い論文誌とそうでないものがあります。基本的に厳密さが要求されますが、「条件付き採録」と言う物があります。これは、「類似研究のXXとの違いを示せ」など示された条件を反映すれば、採録してもらえると言う物です。

論文誌に採録されるには、この条件付き採録が下限の評価になります。すごい論文を書くのが難しければ、不採録にならない、指導してあげたいと思われる研究を考えると良いと思います。

査読者も人間ですから、面白い論文や社会に寄与すると思われるは通したいものです。目先の成果も大切ですが、それに至る思いを論理的に示す事も大切だと思います。

評価基準に合わせてやりたい事をやる

実は私は完成度の高い論文を書くのが得意とは言えません。採録時には何かしらの条件がついている事が多いです。それでも条件付き採録にしてもらえたのは、論文に示す成果だけをゴールにしていないからだと思っています。

私は長らくソフトウェア工学に不満を持っていました。それは、大規模プロジェクトの管理に関する問題を多く解決しているものの、小規模な問題や現場の問題はあまり解決してくれていなかったからです。

そこで、そのような問題がある事、解決策があることを示すために論文を書きました。このような論文の場合、問題の分野があるが研究されていないことを明示する必要だけでなく、文献を新しい視点で整理します。場合によっては解決法にあわせて問題を設定します。

これは、新規の研究ではありますが、その事よりも関連研究を分類・整理して、新しい分野を示す事が大きなねらいですので、サーベイ論文に近いかもしれません。ただ、よほど大規模でないとサーベイは論文誌に載りませんので、実験や分析でその正当性を示す必要がありました。

問題設定が重要

ソフトウェア工学はアルゴリズム研究の様に「XX問題」といったあらかじめ定義された問題が少ない分野です。論文ごとにその問題を関連研究から明示する事が必要です。そこで、記事の様に既にある研究を発展させるか、過去に採録された論文の問題設定そのままに発展させる事が多く行われています。

反面、ソフトウェア開発には解決しないといけない問題が山積みです。新しい分野を示す論文がもっと必要だと思います。そのためには、産業界とアカデミアがもっと交流する必要があると思います。

これは、シンポジウムのような場をつくることや現場の人間が論文を書く必要があると思います。しかし、開発現場にいると論文にまとめる余裕がなかなか取る事ができません。そこで、書籍化によって引用可能な状態にできればと、思っています。

アジャイルの普及が遅れている理由

そのように色々考えると、アジャイルの取り組みが遅れているという記事には色々言いたい事があります。

アジャイルは転職標準として普及している側面があると思います。転職による技術伝搬が少ないのではなくて、転職が多いので受け入れ側も標準を取り入れざるを得ないのではないかと思います。

ウォーターフォールだとPMBOK、アジャイルだとスクラムマスターやプロダクトオーナーの資格が転職に有利だと思います。しかし、同じ規模だとすると必要あるいは有効とされる人数はスクラムマスターの方が多いので、標準になりやすいと思います。これからすると、記事とは理由は違う意味で、転職者が増える環境にあればアジャイル開発が増えると思います。

でも、採用目的のアジャイル開発の導入が増える事によって、記事が問題としている競争力が上がるのでしょうか?企業が競争力を向上させる努力が前提でないと意味がないと思います。

また、産学連携が少ない事を問題視していますが、大学の先生が論文の数で評価されている事、教育者としての時間が多くかかるので共同研究ができない事、などを抜きに議論されています。産学連携が進まない背景にある仕組みに関する議論がされることに期待したいと思います。

危機感だけでは解決できない

様々な記事で色々な問題が議論されています。高学歴やアジャイル開発の記事では、危機感をあおるだけで、解決策に至っていません。それは、問題点が整理されていないからではないでしょうか?

アジャイルへの取り組みが遅れている事は事実でも、それどのような問題であるかのきちんとした議論なしに、導入する事は危険です。高学歴を求めた結果が就職難につながっている様に、 多くの人が良いとする事を進めていった結果が、不幸な結果を招くかもしれないからです。

本当にアジャイルが必要なら、そう思う人がアジャイル開発の仕事を取ってくれば良いだけです。会社を起こすよりは簡単ですし、転職するよりも安全でしょう。それができないのは、そういう仕事がないか、そういう仕事を見つけられないからか、ビジネスにならないからです。もし仕事がないなら、転職率が高くなり、産学連携が進んでも、アジャイル開発は普及しないでしょう。

不景気が続く中で企業が守りに入り、挑戦的な開発が少なくなっていることが原因の一つではないでしょうか?まずは、挑戦し、その成功を通して、アジャイル開発が増えるのが本来の形だと思います。

挑戦を始める一つの方法は、チケット駆動開発です。その問題の一部はすでに定義されていて、論文に引用可能です。それが、ソフトウェア工学の憂いに対する私の回答です。

挑戦の道具としてのチケット駆動開発について、デブサミ2013で発表する予定です。ご興味のある方はぜひご参加ください。


「生きた数字」からメトリクスを考える - 稲盛和夫著「アメーバ経営」その1 -

すぐれた経営者になるには、問題の本質を見極める能力が必要だと思いました。 稲森和夫著「アメーバ経営」で、見極めた本質だと最初に思ったのは「生きた数字」と言う言葉でした。

生きた数字

前回書いた稲盛会計学では、原価管理で用いられる標準原価を使いません。それは標準原価が、過去の原価から求められるので、コストダウン要求によって日々変化する製品には使えないからです。過去の原価を元に目標とする原価を決めると、これから売ろうとする価格では利益が出ないかもしれないからです。

そこで「売り上げを最大に経費を最小に」が目標になり、「時間当り採算」によって付加価値を計算します。棚卸しの際も売価から原価率を元に原価を決める「売価還元原価法」を用いる様です。

このほかにも法律に定められた減価償却期間でなく、より現実的な期間で減価償却を行います。これも「生きた数字」の一例だと思います。本の中では「生きた数字」は「現在の数字」という表現がされていますが、見方を変えると「使える数字」「使われる数字」だと思います。

生きたメトリクス

「生きた数字」を参考にメトリクスを考えると色々なイメージが浮かびます。まず、問題があるメトリクスを考えると以下のような物があります。

  • 標準だからと集められる
  • 集計結果が公開されない
  • 開発中のプロジェクトが改善されない
  • 複数のテストから残存不具合をもとめるなど本来の理論と合わない
  • 上限値と下限値が定められているが、改善による見直しがない
  • 改ざん、あるいは、作業方法が調整されている

逆に使えるメトリクスには、以下のような物があるでしょう。

  • 開発中のプロジェクトを改善する(複雑度、カバレージ)
  • 収集作業がコミュニケーションになる(プランニングポーカー、見積り手法CoBRA)
  • 理論に沿った収集・分析が行われる
  • 継続した改善が可能 (ベロシティ)
  • 現場の活動に必要、あるいは、必要なツールから自動に集められる(EPMEPM-X)

まとめ

上の様に思い浮かぶ項目を挙げていくと、どんなに良いメトリクスでも正しいプロセスが伴わないと「生きたメトリクス」にならない事がわかります。「アメーバ経営」で用いられる数字も、実際の現場で正しく利用されないとうまくいかないと思います。

この本に書かれている「生きた数字」を活かすプロセスとはどのような物であるかに注目しながら、読み進めたいと思います。

アメーバ経営の会計法とアジャイル開発の類似点 -「稲盛和夫の実学 経営と会計」-

会計というと業種による違いはあるものの、法律を拠り所とする文字通り事務的なイメージがありました。しかし、「稲盛和夫の実学 経営と会計」を読むと、会計はビジネスと製造をつなぐ経営の要であると感じました。

お金は様々な物と交換可能で、会社や国を超えて比較ができる公平なメトリクス(尺度)です。しかし、他のメトリクスと同じ様に計測方法や使い方を誤ると、重要なものを見失わせる可能性があります。適切なメトリクスを収集し、適切に利用する必要があります。

この本にかかれている事は一般的な会計の方法ではなく、企業を構成するアメーバと呼ばれる小さな組織が、独立採算で運営して収益をあげて全員参加型経営をするための方法です。

たとえば、法律に定められた減価償却の期間ではなく、 税金が不利になっても実際に利用可能な期間を減価償却期間とすることや、売れるかどうかわからない特注品の在庫は税金がかかるだけなので捨ててしまう(セラミック石ころ論)など、問題を見える化し、正しい判断ができる様にします。

また、人に罪を作らせないダブルチェックや、タスクカードと同じ様に仕掛品を評価しない、経営をガラス張りにしてゴールを共有する、付加価値による評価、自律的組織のなどアジャイル開発ともつながる所が感じられます。

この本の内容はアジャイル開発やTOC、TPSなどに通じるところが多々あると思いました。 全員で一つのゴールに向かう場合、アプローチに関わらず必要とされる物はにてくるのかもしれませんね。少々こじつけではありますが、本に出てくる用語と対応すると思われる考え方を表にしてみました。

この本は会計を中心に書かれていますが、メトリクスとはどうあるべきか、組織とはどうあるべきか、を考える際の参考になると思います。200ページたらずの本ですので、会計の新しい視点に興味のある方だけでなく、チームやメトリクスについて考えられている方にお勧めできると思います。

用語対応する考え方
減価償却の適正化 見える化
キャッシュベース 実装優先
売り上げを最大に経費を最小に 継続的改善
1対1の対応 適切なメトリクス(曖昧性の排除)
セラミック石ころ論 YAGNI(1升買い論の否定)
完璧主義 継続的改善
ダブルチェック ペアプロ・テストファースト
総生産(ネット生産高) スクラム・オブ・スクラム(合計が全社の生産高になる)
付加価値 顧客への価値の提供
アメーバ経営 自律的組織
仕掛品を評価しない タスクのステータス管理
時間当り採算 ベロシティ
経費移動 公平性
売価還元原価法(原価管理しない) ベロシティ・継続的な改善
魂を注入する ファシリテーション
ガラス張り経営の原則 ゴールの共有、整理整頓
土俵の真ん中で相撲を取る CCPMのバッファ

(2013/1/6追記:京セラ株式会社の「稲盛会計学について|経営哲学|創業者 稲盛和夫」に概要が載っています)


坂本龍馬のリーダーシップ

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

どうも私が変わり者であると気づいたのは、高校生の頃でした。周りに集まる友人を見ていると個性的な、普通に言うと変わっている人間が多い事に気づき、これはきっと「類は友を呼ぶ」と言う現象に違いないと思ったからです(笑)。

結構変わっていると思いますので、私の思いが決して全ての人には当てはまらないと思います。また、全ての人が私の様に生きる必要もないと思います。しかし、自分と異なる意見は、参考として、あるいは、反面教師になる物ですから、私の思いをまとめておきたいと思います。

坂本龍馬について

そんな私が熱中したのは、坂本龍馬です。大器晩成を地でいくような、「べこのかぁ」(お馬鹿)が友人や新しい人脈を通じて、日本の未来を切り開く姿は、あまり成績が良くなかった私には目指す姿だと思えました。

坂本龍馬は土佐の郷士で、月形半平太のモチーフになった武市半平太(瑞山)と共に土佐勤王党にいました。しかし、英語の塾で民主主義を知り、黒船の話を知って、土佐を離れました。やがて、勝海舟に教えを受けて会社を起こし、内戦に向かう日本を大政奉還に導いて明治政府の方向付けをしました。

このブログでも、その戦略([#TiDD] アジャイルは戦略 - 「竜馬がゆく」にみる坂本竜馬のアジリティ -)や龍馬の習った北辰一刀流の教え([Redmine] チケット更新のチェック (Mylinの設定あり))を書きましたが、今回はリーダーシップについて触れたいと思います(龍馬については「竜馬が行く」の知識がベースになっています)。

世情が厳しくなる中で龍馬の事を語る人が増えていますが、本当の龍馬のすごさはリーダーシップです。大政奉還の大役を果たした時、明治政府で希望する役職を聞かれると「世界の海援隊でもする」と言いました。このことは龍馬のリーダーシップを表す物です。

坂本龍馬の志

最近知られる様になった「船中八策」は歴史で習う「5か条の御誓文」の元だと言われるものです。英語を勉強しようとして民主主義を知ってしまった龍馬は国家のあるべき姿を知り、その実現に奔走しました。

その実現は簡単な物ではなく、友人を捨て、故郷を捨て、攘夷の志を捨てる物でした。しかし龍馬は、土佐勤王党をやめ、脱藩し、勝海舟に教えを請うたのです。尊王攘夷の考えから許せないと思っていた悪人を殺しにいって、弟子になったのです。

明治維新の本質

明治維新は幕府の崩壊や王政復古と考えられがちですが、実は民主主義革命でもあり、身分制度との戦いでもありました。龍馬自身も商家の流れを汲む郷士の出身でした。郷士は 身分の低く、龍馬自身は豊かな家庭に育った様ですが、生活が苦しい者も多かった様で、それが土佐勤王党の力になりました。

また、長州においては身分制度を超えた徴兵によって立身出世を目指す志士が集められました。それは、生まれによる差別をなくす生きるための戦いであり、生まれで当然の様に武士になっていた幕府軍を圧倒しました。

脱藩浪士の様に志の高い者が集まったとき、あるいは、集まった者の志を高めないといけない時にどうあるべきか。その答えの一つが坂本龍馬だと思います。

大泣きする坂本龍馬

龍馬は雨の日に水練に行く際に「どうせ濡れるから」と傘を持たないような合理的な人でした。その一方で、人の個性を認め、大切にする人でした。

「竜馬が行く」には、「人切り以蔵」という人物が出てきます。以蔵は土佐勤王党やそのトップであった武市半平太に貢献すべく、佐幕派を多く手にかけました。それは龍馬のめざす理念からは許せない物でした。しかし、そのような以蔵を愛して、その死に泣きました。

また、土佐を離れたとき、それは単に友人である武市半平太を捨てただけでなく、結果的に友人を処刑から救えない事になり、山の中で、ひとり号泣する事になります。

龍馬のリーダーシップ

龍馬は日本初の株式会社(の原型)とも言われる亀山社中を立ち上げ、やがて土佐の支援を受けてのちの三菱財閥の基礎となった海援隊としました。それは、商家の血が目覚めた様にも思えますが、大志のために生活の糧を得るとともに戦の時に備えた決断でした。

それは大変だったと思います。国を変える事や尊王攘夷しか頭にない人間を、国家の未来のために雇い、働かせたのです。龍馬自身はトップでしたが、本当に望んでいたのかどうか。なすべきことをなそうと、ただただ必死だったのでしょうね。

当時のリーダーでは、血を吐きながら軍を率いた高杉晋作や、佐幕派から逃げながら長州を導いた桂 小五郎(木戸 孝允)など、愛すべき人が多くいます。しかし、私は坂本龍馬に惹かれます。成功だけでなく、間違いや失敗も認め、本当に 人を愛していたからです。

これからのリーダーに必要なこと

これからのリーダーに必要なこと、それは、人を活かしてコーディネートする力だと思います。

一通り、技術が発展し、今後はその応用が求められています。そこでは、優秀なクリエーターが求められるでしょう。その一方で、すごい人はそれほどおらず、みんなで協力する必要もあると思います。ある分野ではすごいが他は苦手な、そんなとんがった人を組み合わせてチームを作るのです。

「私が、私が」と言う人をうまくコーディネートする事が必要です。そこに求められるのは、「私が、私が」と言う人ではなく、サーバントリーダーシップを発揮できる人だと思います。

自分の思いを捨て、関わる人たちの能力を最大限に発揮して、大志のためにひたすら努力する。そのような人材が求められていると思います。

今年の志

かくいう私も坂本龍馬を目指せるかどうか、怪しい物です。友の思いを聞いて西南の役に倒れた西郷隆盛になりそうな気もします。その様にならないためには、目先を見ずに先を見ていいる必要があり、まだまだ勉強が足りないと思います。

今年はより多くの勉強をしないといけない年になりそうです。そこには厳しい現実が待ち構えているかもしれません。しかし、坂本龍馬にも神戸海軍操練所で勝海舟に教えを請う時期が必要だった様に、わたしにも学びが必要だと思っています。

さあ、ことしがどうなるか、今からワクワクしています。

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