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アメーバ経営の会計法とアジャイル開発の類似点 -「稲盛和夫の実学 経営と会計」-

会計というと業種による違いはあるものの、法律を拠り所とする文字通り事務的なイメージがありました。しかし、「稲盛和夫の実学 経営と会計」を読むと、会計はビジネスと製造をつなぐ経営の要であると感じました。

お金は様々な物と交換可能で、会社や国を超えて比較ができる公平なメトリクス(尺度)です。しかし、他のメトリクスと同じ様に計測方法や使い方を誤ると、重要なものを見失わせる可能性があります。適切なメトリクスを収集し、適切に利用する必要があります。

この本にかかれている事は一般的な会計の方法ではなく、企業を構成するアメーバと呼ばれる小さな組織が、独立採算で運営して収益をあげて全員参加型経営をするための方法です。

たとえば、法律に定められた減価償却の期間ではなく、 税金が不利になっても実際に利用可能な期間を減価償却期間とすることや、売れるかどうかわからない特注品の在庫は税金がかかるだけなので捨ててしまう(セラミック石ころ論)など、問題を見える化し、正しい判断ができる様にします。

また、人に罪を作らせないダブルチェックや、タスクカードと同じ様に仕掛品を評価しない、経営をガラス張りにしてゴールを共有する、付加価値による評価、自律的組織のなどアジャイル開発ともつながる所が感じられます。

この本の内容はアジャイル開発やTOC、TPSなどに通じるところが多々あると思いました。 全員で一つのゴールに向かう場合、アプローチに関わらず必要とされる物はにてくるのかもしれませんね。少々こじつけではありますが、本に出てくる用語と対応すると思われる考え方を表にしてみました。

この本は会計を中心に書かれていますが、メトリクスとはどうあるべきか、組織とはどうあるべきか、を考える際の参考になると思います。200ページたらずの本ですので、会計の新しい視点に興味のある方だけでなく、チームやメトリクスについて考えられている方にお勧めできると思います。

用語対応する考え方
減価償却の適正化 見える化
キャッシュベース 実装優先
売り上げを最大に経費を最小に 継続的改善
1対1の対応 適切なメトリクス(曖昧性の排除)
セラミック石ころ論 YAGNI(1升買い論の否定)
完璧主義 継続的改善
ダブルチェック ペアプロ・テストファースト
総生産(ネット生産高) スクラム・オブ・スクラム(合計が全社の生産高になる)
付加価値 顧客への価値の提供
アメーバ経営 自律的組織
仕掛品を評価しない タスクのステータス管理
時間当り採算 ベロシティ
経費移動 公平性
売価還元原価法(原価管理しない) ベロシティ・継続的な改善
魂を注入する ファシリテーション
ガラス張り経営の原則 ゴールの共有、整理整頓
土俵の真ん中で相撲を取る CCPMのバッファ

(2013/1/6追記:京セラ株式会社の「稲盛会計学について|経営哲学|創業者 稲盛和夫」に概要が載っています)


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