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自律的組織をメトリクスで方向付ける - 稲盛和夫著「アメーバ経営」その2 -

一言で述べるなら「すごい!」の一言につきます。

あとがきに「公開すべきでない」との意見があった事が書かれていますが、アメーバ経営(リンク先は稲盛和夫の経営哲学)の仕組みやノウハウが書かれていて「現場主義を浸透させるためのクレド(信条)」とでも言うべき本です。

アメーバ経営の特徴

アメーバ経営の特徴を私なりにまとめると以下になります(詳細は本をお読みください)。

  • アメーバと呼ばれる小集団が、それぞれが独立した工場のように自律的に管理する
  • アメーバの管理は出荷から経費を引いた付加価値を時間単位で管理する
  • 時間当りの付加価値は時間当りの採算と呼ばれ時間単価の目安になる
  • 付加価値の計算にはアメーバ間の取引我考慮されるが、労務費は考慮されない
  • アメーバ間の取引は商取引と同じで別のアメーバや会社に発注できる
  • 上司の役目にはマスタプラン(年度計画)によるアメーバの方向付けと調整やアメーバ間の値付けの調整もする
  • 全社的な原則とルールによって方向付けされる
  • アメーバの分割は、独立採算できる、ビジネスが完結する、会社の目的や方針に沿う事
  • アメーバの分割は見直される
  • 受注生産、在庫販売、社内売買のしくみが整備されている

興味深かった点

京セラ創業時の事業である受注生産がベースになっているようです。ファインセラミックの各工程が独立した企業で存在する事を参考に、アメーバに分割されていった様です。

アメーバ経営が興味深いのは、現場主義でありながら「時間当りの採算」という単純化されたメトリクスで見える化し、詳細な管理会計を実現するとともに経営の意思を浸透させているところです。

また、アメーバ間の値引きによって、市場価格が各組織にリアルタイムに伝播するのも、大きな特徴です。単なる分業ではなく、それぞれのアメーバ間で商取引を行う事で品質を維持します。

このようにお金に重点を置いた組織作りですが、短期的な成果主義を取らずに実力主義で評価され、アメーバの運営やアメーバ間の調整は倫理や哲学といった人間的な側面が重視されます。

このほか、組織がうまく回る様にシンプルで透明で公平な仕組みが随所に組み込まれています。

ソフトウェア開発に当てはめて考えてみる

ソフトウェア開発に当てはめて考えてみると色々な事がわかります。

ソフトウェア開発の経費の多くは労務費ですので、経営の手法と考えると労務費を組み入れないと難しいでしょう。アメーバ経営ではパートタイム労務費は経費と扱うので、それが参考になるかもしれません。

別のメトリクスを考えると、ベロシティが「時間当りの採算」に近いです。しかし、チーム間の比較が困難である事や組織全体の目標も立てられないので、利用は困難です。ファンクションポイントが簡単につけ得れば良いのですけど、、

品質が組織間の取引を通じて維持されますが、工程毎に区切るなら実現可能性や仕様を示せるプロトタイプがないと完結しません。ただ、アジャイルにしてしまってイテレーション毎に事業になるかと言うとそれはそれで難しそうです。

まとめ

以前の記事に書いた様にやはりメトリクスは重要です。また、アジャイル開発などともつながる考え方もあり、組織を考えるには非常に参考になりました。

その反面、ソフトウェア開発特有の難しさを再認識しました。やはり工場的な管理は難しく、人の側面をどのようにコントロールするか、全体をどのように見える化するか、それはソフトウェア開発に関わる私たちの課題だと思いました。

この本以外にも理論的な本がある様ですので、暇を見つけて読んでみたいと思います。また、いつか経営に近い立場になった時には、もう一度読みたいと思いました。


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