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CCPMのグッときた話 - TOC/TOCfE関西分科会 -

TOC/TOCfE関西分科会~CCPMでもっと工期短縮!!~」に参加しました。

CCPMは以前から記事などで知っていたのですが、大きく誤解していました。工期短縮が目的なので、乾いた雑巾を絞るような方法ではないかと勝手に思っていました。

そんな誤解があったものの、今回はアジャイル開発に興味を持つ人も多く参加されていて、なによりアジャイルラジオの東さんがされていて、なかなか楽しそうなので参加してみました。

CCPMCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)は質的なスコープ変化がなく、外部的な不確実性が少なく、期間とリソースのボリュウムがある程度あり、タスクに依存関係があるプロジェクトに向いている方法です。

CCPMの概要については「情報マネジメント用語事典」、「知っておきたいIT経営用語」、BeingManagementのマンガなどを見ていただくとして、今回の勉強会に参加してグッときた話を私なりの解釈でまとめます。

見える化である

見える化というのは単ある可視化ではなく、問題点が見える様にする事です。CCPMではスコープ(仕様)とリソース(人の割当?)を固定しておいて、納期(期間)を調整します。開発の効率化を実践すべく、目標とすべき計画とバッファを見える化し、時間軸の管理によって問題を明確にします。

従来の見積もりでは、理想的な開発期間と何らかの問題が生じた際のリスクをあわせたおおよその工数を見積もりとしています。CCPMでは理想的な開発期間を目標として線を引き、リスク分はプロジェクト全体の余裕バッファとして管理します。目標とリスクを分離して見える化することで、スケジュールに合わせてだらだら開発する事や、よかれと思って不要な作業をしてしまう事を防ぎます。

また、プロジェクト開始が遅れた際も、プロジェクトバッファはいじらないそうです。これはグラフを用いた管理を容易にするほか、プロジェクトの状況を見える化することが重視されているからでしょう。

計画時に工期短縮がきまる

特定の作業間のボトルネックであるクリティカルパスではなく、プロジェクト全体の期間を決めるクリティカルチェーンを管理します。また、クリティカルチェーンを守るために、チームで協力します。

柴山さんらのインタビュー記事にもありますが、プランニングポーカーを活用されるようです。フィボナッチ数列になったトランプ状のカードを見積もりに応じて示す事で、仕様の認識ずれをなくすだけでなく、より良い方法を発掘します。

計画時に作業の依存関係を認識し、作業の平準化をしながら計画します。それは私がイメージした乾いた雑巾を絞るのではなく、小豆と大豆が入った升をトントントンとつめていくようなイメージを感じました。そこでできたバッファは可視化され、管理されますので、浪費される事なく、結果的に工期が短縮されるのでしょう。

メンバーを活かす

講師が市谷さんと柴山さんだった事もあるかもしれませんが、アジャイル開発の話を聞いているような気がしました。リーンもスクラムもCCPMを包含するTOCもTPS(トヨタ生産方式)から生まれたと言われていますので、当然かもしれません。

マルチタスクになるのであれば、分割してシリアル化します(スクラムでも良く言われる事ですね)。また、理想の開発時間とバッファを分離する事で、リスクを個人の責任からプロジェクト全体の責任へ移します。スクラムを組む様にチームが一丸となり開発に立ち向かいます。

そして、柴山さんの説明の中にあったボスが責任を持つというスタンスは、サーバントリーダーシップそのものだと思いました。

全体を通して

アジャイル開発が納期とリソースを固定し、スコープを調整して機能を積み上げるボトムアップな開発方法であるのに対して、CCPMはスコープとリソースを固定し、納期の調整可能な計画を立てて効率化するトップダウンな管理法です。

ボトムアップな方法は共通化が容易な反面、全体をきれいに構成する事が難しいと言われています。たしかに、アジャイル開発でアーキテクチャが重要だと言われています。

一方、トップダウンな方法は全体がきれいに構成できるものの、冗長なモジュールができ易いと言われています。そこから類推すると、プランイングポーカーを利用してより効率的な方法の発見を目指すことは、トップダウンでは全体を効率化し難い中で、非常に重要な方法なのかもしれませんね。

さて、これまでの思い込みだった「乾いた雑巾をしぼる」イメージですが、すくなくとも柴山さんの発表からは感じられず、どちらかというとより良いチームを構築されている様でした。

そういえばCMMブームの際にも私はCMMにあまり良いイメージを持ちませんでした。しかし、実際にはそれをより良い方向に活かされた方も多くおられました。プロジェクト管理の方法はプロセスプログラミングのツールにすぎず、その方法をどのように実践するかにかかっているのでしょう。

おまけ

最後に、懇親会での話題を書いておきます。CCPMによって工数がかからなくなった場合、その利益はどこに行くのか?という話題がありました。請負なら受けた側の利益になって良いはずですが、お客様が期間短縮のメリットだけで納得していただけるか難しいところがあるかもしれません。

そもそも契約上の見積もりは最長をとるのか、最短か、あるいは平均か、どれがよいのでしょう。また、準委任(期間)契約の場合、売り上げが減る事になりますし、効率化へのモチベーションが低くなる可能性もあります。このように考えると、単純な人月だけではない契約が必要なのかもしれませんね。

そのあたりも含め、今後も実践されている方からもっと色々と聞いてみたいと思いました。

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