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さかば流・論文作法 その3 - 良い技術 -

論文の構成注意点に続く、論文作法の第3弾です。

論文に限らず、技術というのは使われてなんぼです。再利用が可能で応用が利くという技術が良い技術です。良い技術であるには、結果を示すだけでなく、方法が示されて、「なぜ」が説明できて、その限界が示されている必要があります。

方法が示されている

「魚を与えないで釣り方を教える」という言葉があります。同じ結果を得るには、どのようにそれを実施すれば良いか、方法を示す事で技術は利用可能になります。

「なぜ」が示されている

しかし、その漁法がなぜ効果があるかが示されなければ、多くの間違いを犯してしまいます。鮎の漁法に「友釣り」(リンク先はWikipedia)というのがあります。鮎の縄張り意識を利用した物ですので、ライバル心を起こすような鮎が必要なはずです。しかし、その理解がなければ、別の魚をつけて、釣るべき鮎を逃してしまうかもしれません。また、理由を理解していれば、応用する事ができるかも知れません。実際、Wikipediaには、類似の魚に応用可能な事が書かれています。

限界が示されている

Wikipediaには、友釣りは鮎を捕るための漁法であるのにボウズハゼが釣れてしまう事、稚魚の放流が原因と思われる縄張りを持たない鮎が増えているとの問題点が書かれています。その技法の精度や問題点を明らかにする事で、過度の期待をしてしまわない安心な技術になっているのです。

「謙虚になりなはれ」

私が大学院に行った時、恩師に最初に注意された言葉が「謙虚になりなはれ」でした。教わるという姿勢がなっておらず、生意気だったのでしょう。この言葉は発表にもつながります。「既存の技術と比べれば小さな進歩だが、ここまでならできる」と謙虚に、しかも客観的に説明するだけで技術の議論はできます。

最近は技術的な発表で、ジョブズ風のプレゼンテーションが増えています。わかり易く、楽しい発表が多くなりました。それはとても良い事です。しかし、営業的なプレゼンテーションになっていて、技術のプレゼンテーションではないモノが多い様に感じています(もちろん良い発表もたくさんあります)。

ライトニングトークなら面白いのでどんどんやって良いと思いますが、技術者として発表するなら客観的に課題や弱点も示すべきだと思います。面白い人でも構いませんが、信頼できる技術者でもありたいですね。

技術の質を高めよう!

もう15年近く前にとある中国の会社を訪ねた時の事です。そこには開発部門にも関わらず、多くの博士がいました。博士だからといって必ずしも博識ではないですし、専門分野が仕事に生かせているかどうかもわかりません。

しかし、技術を整理して再利用可能にする事は学んだはずです。新しい技術が入ってきた時に、これまでの技術とどこが異なり、どの様な長所があるかを理解して、説明することも早いでしょう。

一方、日本ではオーバードクターと言われながらも、博士はソフトウェア開発の現場に増えず、開発現場では魚の取り方の議論が盛んに行われています。中国の発展と日本の衰退を考えると、少子高齢化や政治・経済の問題が大きく関わっているでしょう。しかし、技術的な積み上げが少なかった事も一員ではないかと思っています。

論文を書く事はそれがどのような物で、どのように書けば良いかがわかれば、決して難しくありません。せっかく色々な勉強会ができて技術発表が増えているのですから、現場の経験を生かしてより良い技術に仕上げれることができれば、日本はまだまだ発展できる。と思った次第です。

技術発表のポイントも合わせてお読みください。

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