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世代の壁を超えるには - SS2007に参加して その2-

ソフトウェアシンポジウム2007のワークショップでメトリクス(定量的データ尺度)の議論をする仲で、開発者がデータ取りに協力してくれないという話題の中で、

「プロでしょ!お金をもらっているのだから、データを取って当たり前」

そんな言葉が聞かれました。なにか納得いきませんでした。私の世代までならいざ知らず、今の若い人が「当たり前」というだけでデータ収集に協力してくれるとは思えません。仮に、協力してもらえたとしても形だけのデータで、データの精度や一貫性は望めません。

故坂本氏は、プロセス改善はWIN-WINが基本で、開発、支援(SEPG)、ユーザがそれぞれにメリットのあるWIN-WIN-WINの関係が必要だと言われましたが、そのような明確な動機付けが必要な気がします。単に「データをとれ」というのではなく、仕事の定義やデータ収集の意味と効果などを、きちんと説明する必要があると思いました。

このような意見の違いはなぜ生まれたのでしょうか?単に世代の違いではないと思います。もちろん、その時に受けた教育や社会情勢といった違いはあるでしょう。でも、それだけではないと思います。

そもそも仕事の内容が変わり、やり方が変わったのだと思っています。私が社会人になったころはC言語の普及が始まったころです。その頃の言語は、容易にすべてのマニュアルを読むことができました。その後、C++、Javaと変わっていく中でライブラリは肥大し、すべてのマニュアルを熟知することは困難になりました。また、1プロセス・1CPUで処理されることも少なくなり、システムも複雑になりました。

10年ほど前に、コロラド大学で認知科学を教えられていたフィッシャー先生が「オンデマンド・ラーニング」と言われていたことが思い出されます。情報の肥大化によって、かつてのように頭の中に情報を詰め込む時代は終わり、情報を選択して記憶するようになったと言われていました。当時としては画期的なお話でしたが、インターネットが普通の時代に社会人になった、今の若い人は当たり前のようにそんなことをしているのではないでしょうか?

今の若い人のように、様々な知識を取捨選択するということは効率的である反面、断片的でもあります。多くの知識を体系づけられずに持っているので、ある特定の価値観を植え付けられると、それだけが全てになってしまいます。企業価値と言えばお金のことだけ、プロジェクトの目標と言えば、成果物ができればよい、ともすればニュースになりそうな、そんな感覚を持ちかねない知識なのです。

かつて論文の書き方を教わった時に、「言葉の定義」をするように厳しく教えられました。これは、異なる背景を持つ人との対話では、非常に有効です。暗黙の知識に頼らずに伝えることで、正確なコミュニケーションができるのです。開発に関する情報が複雑になり、各人が異なる断片的な知識を持つようになった今、異なる背景を持つ人が増えたのです。

人に何かを伝えるときは、断片的に説明してはいけません。きちんと体系的に説明しなければいけません。そんな時代が来ているのです。

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コメント

そんなさかばさんには、以下の本をご紹介します(もうご存知かも)。結構ベタなタイトルですが、進化し続ける組織というものについての本質的なヒントを含んでいると思います。

「コピー用紙の裏は使うな!」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022731370/

コメントありがとうございます。
面白そうな本ですね。一度読んでみます。

一風変わった脳内構造のホームページがあるのですが、気分転換にでも、いかがでしょうか?

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