仕様からポリシーへ - SS2006基調講演 -
熊本で参加したソフトウェアシンポジウム2006のキーノート・スピーチは九大大学院の安浦先生による「『価値』や『信用』を取り扱うDependableな情報技術に向けて」でした。
話の中心は現金貨幣の情報モデルで、クレジットでもポイントでもなく、現金のモデルのお話で、中州でお金を使ってもばれない、ATMからの認証だけでなくユーザによるATMの認証が必要、生体認証が破られたら鍵を変えられないので非常に危険、などの興味深いお話でした。
しかし、その前振りはもっとインパクトがありました。興味深かった内容をあげると、こんな感じです。
- 対象が生体、ハードウェア、情報と変化してシステムの不安定性が増大した
- サービス中心になり、価値や信用の移動速度が劇的に変化した
- 仕様からポリシーへ:specification-based から policy-based の技術へ
- ネットワークやファームのダウンロード、外部の変化、局所技術の変化などにより境界が不明確化している
- 社会情報基盤のグランドデザインとしてわかりやすい原理が必要
- 「何ができるかより、どうあるべきか」を考えることが重要
このうち、「仕様からポリシーへ」「わかりやすい原理」という考え方は、「アジャイルと規律」の中でベーム先生が「システムのシステム」と言われている、システムが有機的に結合した複雑なシステムを、全体的に整理する方法として有望だと思いました。
また、人の理解できるシステムを作ると言う意味で、リーンソフトウェア開発(決定をできるだけ遅らせる、プルシステム、できるだけ速く提供する、CMM/CMMIの利用)のシンプルルールにつながるものを感じました。
システムを開発する際に、問題を整理することは重要です。しかし、経済性を重視するあまり、すでにあるものをベースにしてしまい、問題をより複雑にしている。そんな私たちに、エンジニアとしてのあり方を問いかけられたような気がしました。
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