適切な距離を置くには
私の関わっているソフトウェア開発の仕事は、言われたとおりに動作する、いわば完全なコンピュータに、不完全な人間が挑戦する、神経をすり減らす仕事です。それでも、もの作りの魅力は大きく、プログラムが動いた際の感動は何物にも代えられません。
ソフトウェア開発と言うと一人でコツコツとオタクのようなイメージがあるかもしれませんが、実際は要求を聞いたり、予算や期間に合わせて調整するなど、お客さまとのコミュニケーションが多い仕事でもあります。
また、社内においても、多くの人で手分して協調作業をしたり、必要となる経費の調整をするなど、通常のビジネスマンと同等以上のコミュニケーションが必要になる仕事です。
このような仕事の特性から、ソフトウェア開発者のニュースサイトには、カウンセリングの記事が少なくありません。@ITにも「ストレスと上手に付き合うために-ITエンジニアにも重要な心の健康-」という連載があり、最新の記事では「全員に認めてもらえなくてもいい」と題して、パワーハラスメントの記事が書かれています。
パワーハラスメントに関しては記事の方を見て頂くとして、私が気になったのは最後の文章です。
「付き合いにくい人」と仕事上接触しなければならないときは、このようにして心の距離を上手に取りましょう。同時に、近づかない、必要最低限しか話さない、会議のときは離れて座るなど物理的な距離も取るようにし、大切なあなた自身を守っていきましょう。
この文章を読んでヘンリ・ナウエンの「心の奥の愛の声」を思い出しました。この本で、ヘンリ・ナウエンもこのように言っています。
- 自分の愛の限界を定めること(p.23)
- 他人の限界を理解すること(p.27)
- こちらの内面生活に、いつ、だれを立ち入らせるかは、こちらが決めなければいけない(p.99)
これらは、人との距離を保つということです。上のカウンセリングの記事もナウエンも、(自分を含めて)個人を尊重して、適切な距離を置けと言っていると思います。
これはその通りで、世の中で完全な人間はそういませんから、自分は自分、他人は他人、そう割り切って生きるしかないのかもしれません。でも、そんな大人になるのは、さびしいような気もします。
人は弱いところがあって、完全にはなれません。自分もそうですし、ほかの人もそうでしょう。それは、二人が同じ方向を向いているときも同じで、競ってしまったり、わずらわしくなったり、思いが違ってくることもあるでしょう。
それでは、やはり、さびしい思いをしなければいけないかというと、そうではないと思います。ちょっと視点を変えればよいと思います。自分の中から相手を見るのでなく、少し離れて見ることだと思います。自分の捕らわれている気持ちや、ほかの人の思いを包み込んで優しく見守る、そんな視点が必要だと思います。
そのために、自分をわかってくれる存在、自分を愛する完全な存在、必要なものを常に与えてくださる存在、道を示してくださる存在、そんな存在が必要なのなのだと思います。
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