合理性に勝る大切なもの
心のともしび第600号に渡辺和子シスターが「美しい光景(リンク先は心のともしび)」というマザーテレサのお話を書かれています。
助かりそうな人ではなく、助かりそうにないホームレスに手当をすることを問われ、マザーは生きている間じゅう邪魔者扱いを受けた人が、生まれて初めて優しい看護を受け、感謝して亡くなっていく様子を語られます。中にはほほえみさえ浮かべるその姿は、「それはそれは美しい姿」だそうです。
誰もが均等に一度だけ与えられる死という大切な時、「愛された」という経験で尊厳を取り戻すことに役立った薬や人手は、「美しいもの」を生み出すために役立ったのです。たとえ薬や人手が不足しがちであっても、それは大切なことなのでしょう。
災害時の医療技術としてトリアージという治療の優先度を決定する方法があります。限られた時間と資材・人材の中でなるべく多くの人命を救うための方法です。そこでは、助からない人に治療をすることは許されず、助かる人にのみ治療が行われます。マザーの行為は、一見それに反する非合理的な行為に思えます。
しかし、マザーの行為が間違っているとは思えません。誰もが幸せになるために命が与えられたはずです。その最後のチャンス、もっとも緊急に手当てが必要な人にマザーは手当をしていたのです。
世の中は、どんどん合理化が進んでいます。すべてのことがお金を中心に回ってしまいがちです。どんな手段を使ってもお金を得らればよいような風潮があります。しかし、それが本当に大事なことか、それのためにはすべてを捨てて良いのか、しっかりと考えなければなりません。幸せとは何か、忘れていることはないのか、たとえ薬を与えられなくても、そばにいることはできないか、単純な合理性を考えるだけでは見失ってしまいがちな、大切なものを見失わないようにしたいと思います。
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