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2009/03/20

充実した人生を生きることができるように

このブログの管理人さかばは、カトリックの洗礼を受けていますが、このブログにはあまりカトリックの教えにはないことも書いています。特に気になる記事は「私にとって神とは」のカテゴリーに入っています。今回扱う聖書の翻訳は、かつてこのブログで議論になったように神学と強く結びつくもので、異なる意見をお持ちになるかもしれません。様々な個人の意見のひとつとしてお読みください。

今回紹介するのは、コンピュータサイエンスの研究や電子製版ソフトTeXで有名なドナルド・E・クヌース先生の「コンピュータ科学者がめったに語らないこと」(エスアイビー・アクセス)の一節です。この本はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「神とコンピュータ」と題する講義の記録です。そこでは、ルーテル教会のクリスチャンであるクヌース先生が長期休暇を利用して行った、聖書のすべての3章16節を調べるという3:16プロジェクトのお話です。

このプロジェクトは、ランダムサンプリングの応用です。すべてを調べることが難しいとき、ランダム(乱数)にサンプルを抜き出すと、全体像を知ることができるというものです。TVの視聴率や政権の支持率なども同じような方法で算出されています。

サンプリングの際に純粋に乱数に従うと、ページ数の多い文書の内容に影響を受けます。そこで、各文章の3章16節を抜き出すという層化抽出方式がとられました。これは、アンケートなどでも年齢層ごとに一定人数を集めるなどされるのと同じ統計的手法です。

さて、なぜ3章16節かというと、序文でもなく、最後でもなく、多くの文書にあるという理由のほか、ヨハネによる福音書の3章16節の

神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。(日本聖書協会 新共同訳)

という聖句が有名であることから選ばれました。

クヌース先生は、サンプルの聖句に関する文献を可能な限り調べられたほか、聖書に関するリファレンスを利用して翻訳もされました。このヨハネによる福音書3章16節も当初は同じような翻訳をされました。

Yes, God loved the world so much that he gave his only chiled, so that all people with faith in him can escape destruction, and live forever.

大意:そう、神は世界を非常に愛されたので、その唯一の子をお与えになり、神を信じる人々すべてが滅亡を免れ、永遠に生きることができるようにした。

しかし、その後に

  • この福音書の執筆者が文の前方でなく後方をさす特殊な書き方を多用しているので、「神は世界を非常に愛されたので」というところは「神は世界をそのように愛した」とすべき
  • 欽定訳聖書で「永遠の命を持つ」と訳されるところを「永遠に生きる」としてしまった

という反省をされています。特に2番目はマタイ、マルコ、ルカの3福音書では、「永遠に生きる」という意味になっているのですが、ヨハネによる福音書の17章3節では

永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです。(日本聖書協会 新共同訳)

とされています。つまり、「永遠の生命」は「神の国」や「天国」に近い意味だそうです。これを、哲学者のパウル・ティリヒは

永遠の生命とは、「今現在」の贈り物である。つまり、キリストに耳を傾ける者は、すでに永遠を手にしているのだ。そういう人間は、もはや時間に駆り立てられることがない。

と述べ、さらに発展させて「永遠の現在」について

今日、永遠の生命を生きることができ、それが今も中断することなく続いている流れ-本質的に時間を超越したもの-である

という考えを示しているそうです。クヌース先生はこれがヨハネによる福音書で「永遠の生命」が意味している内容であり、「やがて」を意味するだけでなく、「現在も暗示する」とされています。

これらを踏まえて改定されたのが、以下の翻訳です。

Yes, this is how God loved the world: He Gave his Only Child; So that all People with faith in him can Escape destruction and Live a full life, now and forever.(カリグラフィーからの転記)

大意:そう、このように神は世界を愛された。その唯一の子をお与えになり、彼を信じる人々すべてが、破綻を逃れて、今も永遠も、充実した人生を生きることができるように。

私が神に出会ったこと、それは破綻から逃れ、充実した人生を送るためだと思うと、感動しました。

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