「アジャイルを飯のタネにして生きている人々」を読んで
書いている内容は興味深い点もありますが、前提に対して指摘すべきだと思いましたので、感想を書きます。
内容をざっくり書くと、先駆者はアジャイルの文献の翻訳や技術紹介、新参者への支援など、コミュニティに大きな貢献をしてきた。しかし、影響力やビジネス機会が集中しており、まるでカースト制度かねずみ講のようだ。継続的改善や自己組織化をめざすアジャイルのコミュニティとしてはおかしい。といった内容です。
勝手な印象を書くと、前半のイメージは先駆者あるいは伝道師はずるい、もっとオープンにすべきで良い仕事を回してほしい。後半は新参者は新しい分野やコミュニティを立ち上げるなどして頑張ろう。アジャイルのコミュニティにはもっと可能性があるはずだ。と書くと、うがち過ぎでしょうか。
ここで前提になっているのは、参加者が個人事業主あるいは会社の経営者もしくはその可能性のある人なのでしょう。そもそも技術中心のコミュニティを通じて、ビジネスに生かすという時点で方向性が違うように思います。勉強会などで人を集め、ビジネスの機会を得て、新しい人にも仕事の機会を与えるのなら、そういう会社か企業連合を作ればよいと思います。そうすればルールもはっきりするでしょう。また、(個人)事業主にこだわらないのであれば、アジャイル開発を導入予定の企業に入社すれば良いだけです(6/6追記)。
技術コミュニティはもっと草の根的なボランティアで、自己紹介を超えた営業活動はコミュニティの外でやるべきだと思います。お金を出すから、場所を貸すから宣伝させろという人もいます。しかし適切な切り分けをせずに、ずるずる許してしてしまうと、腹を割った議論ができなくなってしまいます。以前、コミュニティの個人的な利用が目的の人をスタッフにして大変な目にあったこともありますが、それと同じぐらい迷惑な話です(6/6修正)。協力するならコミュニティで扱う技術の発展に協力すべきであって、それ以外の理由で協力を装わないでほしい。昔から貢献しているとか、コミュニティでのポジションとは関係ないと思います。これはアジャイルとは関係なく、技術系コミュニティ一般にそうあるべきだと思います。
民主的なコミュニティで、声の大きい人が勝つのは仕方のないことです。ただ、仕事を回してほしいから反対できないというのは、そう思う人がコミュニティを悪い方向に向かわせていると思います。新参者に発表の場が与えられないなら、つぶさないようにLTをするなど提案してはどうでしょう。ほかにも色々とやり方はあると思いますし、気持ちが悪いなら抜ければよいと思います。意見が出しにくく、抜けられないのは仕事がちらつくからで、そもそもコミュニティを通じて仕事を期待するという前提が悪いのではないでしょうか?
内容的にはラブ・ボム、ダニング=クルーガー効果、マシュー効果など知らない用語が紹介されていて勉強になりました。ただ、丁寧に概要を入れられているせいか、内容の重複が気になりました。個人的には後半が面白かったので、前半は重複部分を減らし、もっとシンプルに書いて欲しかったです。
アジャイルを飯のタネにして生きている人々
